フジテレビは28日、元タレントと女性をめぐる一連の事案で港浩一前社長、大多亮元専務に対して50億円の損害賠償を請求する訴訟を起こした。今年6月までにフジテレビが被った約453億円の損害の一部だとし、請求理由は事案について報告を受けながら事実関係の調査、専門家への相談、対策チームの設置など管理者義務を怠ったというものだ。深澤諭史弁護士は、金額については「高いが、それくらいにはなる。賠償金は刑罰ではなく損害で決まる。責任の重さではなく、あくまで損害がどれくらい大きいか。フジテレビという大きな会社の売り上げが減ってしまったことを考えれば、50億円もおかしな数字ではない」と述べた。
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50億円という個人が支払うには大きな額だが、支払えなかった場合にはどうなるのか。深澤氏は「判決が出れば強制的に払わされることになるので、預金・不動産・給与などが差し押さえられる。支払えない場合は大抵の場合、破産の申し立てが行われるが、お金を請求している債権者の側からも申し立てができる。すると破産管財人や裁判所から任命された弁護士がいろいろと調査をし、残っている財産は一部を除いて全て現金化し、債権者に分配して終わり、残りは免責という形になるのが通常だ」と解説した。
なぜフジテレビは2人に対して訴訟を起こしたのか。「私がフジテレビの関係者や、相談を受けた弁護士だったら、ひとまず裁判は積極的に起こすべきだと言う。というのも『株主代表訴訟』といい、株主が代わりに裁判を起こせるからだ。そうなると結局裁判にはなるので、フジテレビ自体がしっかりとやった方がいい。これをしないと、賠償金が取れたものを取らなかったと、今の経営陣に責任が行ってしまうことになる」。
従業員も訴えられる?
