クマ被害急増…対処法は?
では、市街地にむしろ好んで接近するクマに対して、どう対処すればいいのだろうか。
「一度そういうことを覚えてしまったクマを矯正するのはすごく難しい。どこでもとっていいわけではないが、集落周辺で定着してしまっているクマの前提で、基本的にはとる(捕獲)しかない」
クマ捕獲で長年中心的な役割を担ってきたのが、猟友会に所属するハンターたちだが、時代とともに顕在化した課題に向き合う必要があると、山崎教授は語る。
「狩猟自体が今の時代の若い人に受け入れられる趣味ではないため、狩猟者人口はどんどん減っている。地域によって違うが平均年齢は60~80代と、高齢化と会員数の減少が起こっている」
さらに9月からの法改正により、ハンターたちはより板挟みになる可能性を危惧している。
「市街地の発砲要件を緩和した。緊急銃猟といって、市町村の長がゴーサインを出した場合において発砲することができる。ただ市街地の発砲はすごく難しい。もともと一般のハンターは市街地で銃猟はしないため、全く知らない場所で新しい経験になる。受ける方もかなり不安に思っていて、北海道では『要請に対して断ることも視野に入れてください』と北海道の猟友会・猟友会員に通達している。万が一、事故があったときの補償についても少し曖昧なところがあるため、現行のやり方だと二の足を踏む人が多い」
ただでさえ高齢化が進むハンターを先細りさせないためにはどうすれば良いのだろうか。山崎教授は“3つの対策”があると述べる。
「一番良いのは行政内部に野生動物の捕獲・管理に従事する専門職員を雇用すること。アメリカで言う『ガバメントハンター』を自前で雇用することだ。それができないときは、スキルを持った人を市町村の職員と同じような形で、デスクを与えて派遣するやり方もある。それもできない場合は認定鳥獣等捕獲事業者の制度が日本にあり、都道府県の知事が認定する捕獲のためのプロフェッショナルな団体だ。対価のお金をもらって契約して遂行する」
(『ABEMAヒルズ』より)
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