次期総裁の動きも活発に

注目は“タッグマッチ”
拡大する

 そして、後任の次期総裁についての動きも活発化している。ポスト石破は、高市早苗前経済安保大臣、小泉進次郎農水大臣、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保大臣、茂木敏充前幹事長の5人を中心に展開していくとみられているが、神庭氏は「高市氏と小泉氏の一騎打ちになるとの見方が強まっている」と述べる。

「高市さんは右派的、タカ派的な主張がネット上ですごく受けている。党員人気も非常にあるので、党員投票ありのフルスペック型になったことは、高市さんにとっては有利に働く。小泉さんはどちらかというと国会議員票に強いので、簡易型の方が良かったのかもしれない。Xなどでは脇の甘い投稿も目立ち、論戦が長期化するとボロが出やすくなるリスクもある」

 今回、「野党との相性」も総裁選のポイントになる。

「高市さんや小泉さんが候補者単体で戦うシングルマッチではなくて、タッグマッチになっていくだろう。自民・公明だけでは過半数を確保できない。直接目の前にいるわけではないが、連立の枠組みをどうするか、どことタッグを組むかが問われている。たとえば、小泉さんなら、お父さん譲りの構造改革・規制緩和路線の人なので、日本維新の会とは政策的に親和性が高そうだ。後ろ盾である菅元総理も、維新との間に太いパイプがある」

「高市さんで気掛かりなのが、公明党の斉藤代表が『保守中道路線の私たちの理念に合った方でなければ、連立政権を組むわけにはいかない』と発言していること。タカ派色の強い高市さんと、平和の党を自任する公明党でどこまで波長が合うのか、がっちりとタッグを組んでいけるのかは未知数だ。高市さんの主義主張的には参政党が合いそうだが、参政党は参院選で躍進したものの、衆院ではまだ3議席しか持っていない。足し合わせても過半数をキープできないという問題がある」

 では、神庭氏は今回の総裁選に向けてどんなことに期待していくのか。

「石破さんは党内に分断を生まないために辞任を決断したようだが、そもそも分断はそんなに悪いことなのか。自民党は右から左まで、考え方が全然違う人たちが集まっている。これまでは自民党の総裁が変わって『疑似政権交代』を果たすことで、長く政権にとどまり続けてきた。だが、その仕組みも制度疲労を起こしている」

「参院選では、2大政党制から多党制へ向かう方向性が示された。高齢者に優しい『シルバー自民党』と現役世代を応援する『現役自民党』という軸でもいいし、『積極財政自民党』と『緊縮財政自民党』という切り口でもいい。むしろ政策ごとにしっかり分かれてくれた方が、有権者としても票を投じやすい。似た政策の野党と連携しながら政界再編していくことで、政治の世界にもダイナミズムが生まれるのではないか」

(『ABEMAヒルズ』より)

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