■ファンだったハリウッド俳優から突如メッセージが
井出氏は1960年代に漫画家デビューを果たし、1980年代に入りレディースコミックを多数発表。人気を博し「レディコミの女王」とも呼ばれている。そんな中、2018年2月にハリウッド俳優のマーク・ラファロを名乗る人物からFacebookにメッセージをもらったことをきっかけに、国際ロマンス詐欺に遭うことになる。
井出氏は「マーク・ラファロがたくさん出ているところに、娘に代わりにFacebookで『いいね』を押してもらっていたところ、突然メッセージが来た。無視をしていたが3週間後くらいに、私の漫画の主人公が好きだと、本人の写真を送ってきた。服装もマーク・ラファロだったし、背景にも知的な本がずらっと並んでいて『本物だ』と思ってしまった」と振り返った。他にもマークからは「仕事しているキミは最高にクール!」「とても美しい、仲良くなりたい」などのメッセージが送られてきたという。本人かと疑うこともあったが、一度ビデオ通話したことで本人だと信じて疑わないようにもなった。おそらくこれはディーフフェイクによる“なりすまし”だったのではと見られている。
マークからのアプローチは加速する。チャットで「奥さんとうまくいっていないという相談が来た。それにまだ日も浅いのに、今度は結婚しようと言ってきた。私は70歳のおばあさんなのに、あなたは50歳ぐらいでしょと言ったのに『それでもいい』と」と、プロポーズまでしてきた。その後、PC越しに「血の誓い」で結婚式をすると、その翌月から様々な理由で送金を頼まれるようになった。「お金を落として飛行機代がないから10万円欲しいと言われたり。10万円ぐらいならと思って送ったら、その後も次々に言ってきた」。
■家族も信じ込む巧妙な手口
