■困窮する“ひとり親家庭”を救うスキームも
地元名産の肉・魚介類・野菜・米などの返礼品が注目され、各自治体の競争も激しいが、近年ではモノを返してもらうのではなく、その地域のコトに役立ててもらう「目的支援型」も増えている。その一つにあげられるのが「ひとり親家庭支援」だ。
つくばみらい市では、ふるさと納税による寄付を受けた後、市として米生産者から支援品となる米を購入し、NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」に手配。ここから困窮するひとり親家庭に米を配送するというスキームが出来ている。2021年から毎年募集がかけられていて、寄付総額は4回の累計で2775万5000円にもなり、つくばみらい市産の米約65トンを延べ1万3134家庭に届けることができた。
ひとり親家庭サポート団体全国協議会・理事長の赤石千衣子氏は「物価高騰もあり米が買えない家庭がたくさんあった中で『久しぶりにお腹いっぱい食べさせられました』という声をいただいた。弁当を持っていけず、その時間にトイレに隠れていたような子が『おにぎりを持っていけたので教室にいられた』という声もあり、いい取り組みだなと思う」と、支援を受けた人からの声を紹介した。
この支援事業を企画した、ふるさと納税地方創生協働ラボを主宰する文田康博さんは「人々のつながりを育むことでコミュニティ全体の課題解決力を高める活動が社会課題の解決の一助となるのだと思っております。」とこれまでの結果を振り返る。
また赤石氏は、ふるさと納税の仕組みを用いたことで、一般的にイメージされる寄付よりも気軽に支援してもらえる利点についても指摘する。「ふるさと納税で出会える寄付者は、いつもNPOに寄付してくれる人よりも(範囲が)広い。そういう人々に出会えるのも、このスキームの良さだ。あまり濃く付き合おうとは思っていないかもしれないが、むしろ薄く付き合う中に良さがあると思う」。
佐々木氏も「関係人口」という言葉を使って、同様のイメージを持つ。「観光客より少し関係は強いけれど住民ほどではない、中間のところを『関係人口』と呼ぶが、その繋がり感をもう少し強くした方がいいと思う。私も返礼品とは考えずに、被災地にふるさと納税することがある」。また山崎氏も「ふるさと納税は1回しか訪れたことがなかったり、あるいは地域に対して思い入れがあるというだけでも、少しだけ応援する関係人口として関わりたいという人もいる」と付け加えた。
では今後、より目的支援型を増やしていくにはどうすればよいのか。山崎氏は「まずは地域の人々が自分たちの地域課題を知り、何に取り組もうとしているかを発信すること。ふるさと納税サイトで、返礼品と並んで目的型が入るというのが第一歩だと思うが、返礼品の魅力はかなり強い。だからこそ目的型は、ある種の感動を呼ぶようなストーリーが必要だ。その情報発信については、かなりデザインしなければいけないし、そこにウソがないように地域課題を行政・民間・市民が一緒になって取り組むことをしっかり出していくことが大事だ」と述べていた。
(『ABEMA Prime』より)

