■事実婚とは
そもそも事実婚とは、何なのか。古藤由佳弁護士は「届出をしていないが、婚姻意思があって、共同生活しているという、婚姻の実態がある関係性を指す。法律婚との違いで大きな点は相続権だ。法律婚であれば当然相続できるものが、事実婚ではできず、事前に遺言などを作っておく必要がある。子どもについても、法律婚の夫婦は共同親権だが、事実婚では基本的に母親の単独親権になる」と説明する。
前田さんは、結婚から半年たった感想として、「日常生活での不都合は多くないが、生命保険の受取人を母から夫にしたことで、『他人を指定した』となり、控除が受けられなくなった。金銭的には微々たるものだが、『他人なんだな』と精神的にショックを覚えた」と明かす。
古藤弁護士によると、「医療機関で治療の同意ができる、できない。銀行で住宅ローンが組める、組めないの対応が違う。あやふやの位置に置かれていること自体が不利益」なのだという。
先日、事実婚を発表した笑下村塾代表のたかまつなな氏は、「選択的夫婦別姓が導入されていたら、法律婚したかった。『導入されていないから法律婚できない』という人は、推計58万人いるという調査もある。『時代的に親や地域の人が反対して、できなかった』という人もいる。男女で区切る問題ではないが、男性と女性では感覚が異なる。女性には、泣く泣く名字を変えて、アイデンティティーを失ったと感じている人も相当多い」と語る。
■結婚は「互いの気持ちの問題が一番」
