アメリカ半導体大手「エヌビディア」。高性能のAI向け半導体市場で圧倒的なシェアを誇る「AI界の巨人」である。
8月27日に発表した5月から7月期の決算では、売上高・純利益ともに四半期ベースで過去最高を更新した。しかし、決算発表後の時間外取引でエヌビディアの株価は下落。
「エヌビディアに関しては常に期待値が高いということがあり、一社独占(のような状態)になっているので、悪いところが出てくるとネガティブに反応する。エヌビディアの決算の中でデータセンター向けの需要を非常に強く見ていたので、そこが(期待に)達していなかったため下落した」(根津アジアキャピタルリミテッド 河北博光氏、以下同)
その後、再び株価が下がる。一因は中国勢の存在である。
「(中国IT大手の)『アリババ』『百度』がAIモデルのトレーニングに使う半導体として、新たな自社開発チップを開発させたという報道があり、そこでも下落している。エヌビディアに関しては、これまで一強だったということもあって、常に『代替技術が出てくるのではないか』『競合が出てくるのではないか』という話がある」
今年1月、中国のAIベンチャー「ディープシーク」が低コストで高性能の生成AIモデルを公表。世界の投資家に衝撃を与え、「ディープシークショック」と呼ばれる株価の急落を引き起こした。
「ディープシークショックと似たような形で、『より安いもの』『より簡単なもの』が出てくることによって、エヌビディアの競争力が失われるのではないかという懸念が、常にマーケットにある」
「エヌビディア一強」と言われるAI半導体の市場で、中国の存在感が一段と高まっている。
「中国に関しては自国で生産したいと、これは国策になっている。性能で劣ってもなんとか国産でやっていきたいということ。今はAIの市場では中国の戦略が非常に重要になっており、中国からいろいろニュースが出てくる可能性がある。その度に『新たな競合の登場』『新たな市場が縮小するのでは』といった見方が広がる」
高性能チップの開発は不可能?
