■日本では解散命令「宗教法人ではなく宗教団体として存続するのでは」
一方、日本では旧統一教会の解散に向けて進んでいる。1980年~90年代に霊感商法や合同結婚式が社会問題化されていたが、2022年12月に被害者救済新法が成立すると、翌2023年10月に盛山正仁文科大臣(当時)が解散命令を請求。今年3月に東京地裁が解散を命令した。教団は東京高裁へ抗告してはいるものの、宗教法人であり続けることは難しいという認識も内部で持たれ始めている。
鈴木氏は、内部の動きをどう見ているか。「解散命令は逃れられないだろうという認識もある一方で、それに抵抗するような動きもしている。最終的には宗教法人ではなく、宗教団体として存続はしていくだろう。一部の情報では、国に財産を没収されるのであれば、その前に全職員にボーナスや退職金として何十万と支払い、それを新しい後継団体に献金させるような策を練っている」と、財産維持の対策もあるという。
解散命令そのものについては、裁判所も宗教の自由を侵さない配慮があったもので、高裁でも判断は覆らないだろうというのが、鈴木氏の見立てだ。「これまで宗教法人としていろいろな恩恵を受けてきたが、それを剥奪されてもしかたないことをしてきた。教団側は『宗教の自由の侵害だ』と言ってはいるが、最大限配慮した上で命令が出されている。地裁の決定文もかなり踏み込んだ内容での認定だったので、これを覆すのは教団にとっても、かなりハードルが高い」。
教団は2009年に「コンプライアンス宣言」を行い、問題は是正されたとしてきた。しかし東京地裁は、宣言以前に損害賠償判決が168人・約18億円、和解・示談が1366人・約177億円にのぼるとし、また宣言以降も損害賠償・和解・示談の合計が179人・約10億円になる事態を重く見て「もはや解散によって法人格を失わせるほかに適当かつ有効な手段は想定しがたい」と、解散命令に至っている。
■安倍元総理襲撃事件も10月から裁判
