■個人運用に失敗、一棟買いしたマンションが差し押さえに
まりおさんの“しくじり”は、代金を先に入金したが、半年経っても終わらない「リフォーム詐欺」から始まった。そして、「手抜き工事で賃料を下げるはめ」になり、満室で80万の想定から50万円になった結果、ローン返済で手残りはほぼなくなった。そこに、「収入があがり予想外の出費(ローンは経費にならない)」も加わる。所得税や健康保険、保育料などが爆上がりし、固定資産税、都市計画税なども滞納。差し押さえ通知書が届く事態になってしまった。
まりおさんは、30代のころに本業(理髪店)がうまくいかずに、「激安アパート経営」の本を読んで不動産投資を始めた。最初は、分譲マンションの1部屋を90万円で購入し、月々約3万円の収入を得る。そして、もっと儲けたいと、2つめの不動産投資として5000万円のマンションを購入したことが、悪夢の始まりになった。
リフォームの経緯について、「アドバイスを受けた人のつながりで、最初の業者に頼んだが完成させてくれない。リフォームが終わらないと、入居者の募集ができず、退去者も重なり、金回りが悪くなった。家賃を下げて募集する戦法に出たところ、予定していた収入とも食い違った」。また「ペット禁止でも飼っている人がいたり、騒音がひどかったりと、入居者トラブルも多かった」と振り返る。
不動産コンサル「ホームコンサルティングソリューションズ」代表取締役で、YouTube「不動産アニキの非常識な投資学」を運営する小林大祐氏は、まりおさんのケースを「自分がサラリーマンから不動産投資を始めた約20年前から、よくある話だ」と説明する。「『不労所得だ』『買えば成功する』という幻想があるが、実態は“事業”だ。事前の勉強や実践を通して、やりきる覚悟と能力が求められる」。
そして、「『安く買って高く売る』と言っても、上場企業が500億円単位で運用しているところに、素人が数百万円で太刀打ちできない。真っ向勝負ではなく、自分自身のステージにあった戦い方を考える必要がある。まりおさんのケースなら、本業が厳しいときに不動産投資を始めるのは、あまり得策ではない」との考えを示す。
■注目の「不動産クラウドファンディング」手軽さの裏にリスクも
