■「大切な人が突如いなくなった時のショックは大きい」

 福田さんも利用した故人AIサービスを提供する会社「ニュウジア」代表の柏口之宏氏は、「大切な人が急に亡くなることに関しての緩和ケア、グリーフケアが必要だと叫ばれている。『あの人ともう1回しゃべってみたい』という時、ショックを少し和らげることができるのではないか、という思いでやっている。AIで故人を生成したいという遺族のお客様は多い」と話す。

パソコンを通して亡き妻・奈津子さんとやりとりする福田元さん
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 対話型故人AI「talk memorial.AI」サービスでは、生前の画像や音声から、故人の顔や姿声を再現する。故人の「情報」「性格」「思い出などエピソード」を文字入力し、学習(50万文字まで入力可能)させることで、故人の人格や記憶を再現。「実際に存在しているような会話や思い出話ができる」という。料金は30万円(1年間)とサーバー通信費だ。

 柏口氏は「“デジタルヒューマン”という技術で、本人そっくりのクローンを作る。素材は、写真と動画、エピソードの3つ。声をそっくりにしなければならず、動画があればビジュアルと声が揃い、エピソードは文章で書き起こしていただく」と仕組みを説明。

 ただ、「10人中10人が『YES』と言うサービスではない」との認識も持っているという。「『98歳で大往生したおじいちゃんを復活させたい』という需要はあまりないだろう。周りは、数年かけて心の準備をしているからだ。ただ、大切な人が突如いなくなった場合のショックは大きい。その場合にグリーフケアとして使ってもらうことを前提としている」とした。

■「もっと慎重になるべき」の意見も 故人が望まない“復活”は倫理的にアリ?
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