■味はバッチリ!鶏の「培養肉」まだコストに課題 焼き鳥1本で「20~30万円」
昆虫食と同様に、次世代の食材として期待されているのが「培養肉」だ。作り方としては、動物から細胞を採取し、培養液で細胞を増やす(1週間)、そして増やした細胞を集めて組織を作る(2〜3週間)。すべて合わせて約1カ月で完成するという。
しかし、培養肉が広まる上では課題もある。1点目が「生産コストが高い」で、培養液が高額なため、1グラム作るのに約1万円かかる。2点目の「法規制の壁」は、厚労省(安全基準)・消費者庁(販売)の2つの許可が必要で、日本で許可された事例はない。そして3点目が「社会的に受け入れられるか」だ。
培養肉を開発・製造するベンチャー企業「ダイバースファーム」CEOの大野次郎氏は、「培養肉は認可されていないため、まだ一般に発売できない。培養肉は、家畜動物の細胞を増やすが、安全面に問題はないと考えている。日本は、細胞を使って体に戻す“再生医療”が、世界一進んでいる」と語る。
開催中の大阪・関西万博では、iPS細胞による人工心臓が展示されている。「ヒトの細胞で作った人工組織を、心臓に貼り付けても安全であると、すでに認められている。うちはニワトリの細胞で、もも肉を作っているが、それが害になるとは、あまり考えにくい」。
一方で、課題もある。「焼き鳥1本1グラムの肉に、現状では数万円かかる。15年前は3000万円かかっていたため、100分の1以下にはなったが、もっと量を増やしてコストを下げる必要がある。今だと、ねぎま1本で20〜30万円する」。
培養肉の開発にあたっては、「遺伝子組み換え食品の失敗を謙虚に学びたい」という。「ちゃんと『こうやって作る』『こういうものだ』と情報を出して、知ってもらう。少しずつ食べてもらい、少しずつ段階を踏んで、『培養肉はおいしい』と知ってもらえればいい」。
(『ABEMA Prime』より)

