「サナエノミクス」で生活は良くなる?
高市氏の掲げる経済対策の一つ、「給付付き税額控除」はいつ実現が可能なのだろうか。中室氏は「約3年はかかるのでは」と分析する。
「1つは今、国が人々の所得の情報をきちんと捕捉していないため、システムの改修が必要だ。もう1つは、生活保護や児童手当などの給付とどう整合性をとっていくのか、二重取りみたいにならないか、などを議論しなければならない。この両面を考えると1年、2年では難しいのではないかと思う」(中室牧子氏、以下同)
また中室氏は「責任ある積極財政」が一番大事だと主張する。
「総裁選で高市氏は、AIやバイオ、半導体などの成長分野に対して積極的に投資をしたいと言っていた。一方で、ワイズ・スペンディング(=賢い支出)とも言っており、財政出動を効果のあるものに絞っていきたい、無駄は省いていきたいと。実際に積極財政とワイズ・スペンディングは両立しないものではないが、どう実現していくのか、きちんと説明をしてほしい」
「例えば政府が成長分野を正しく見極めることができるのかは、重要な問いではないかと思う。かつての日本の産業政策はうまくいっていたと言われているが、90年代くらいからさまざまな問題が出て、すでに成長している分野に追い銭を払っただけではないかという議論も出ている。最近の産業政策はどこの産業が成長するのかを見極めるより、市場の環境を整えることにより注力してきた部分があるのではないかと思う」
よく比較される「アベノミクス」との違いについては…。
「アベノミクスの時との決定的な違いは、当時はデフレだった、そのデフレ脱却のための政策だったこと。今はインフレだし、需給ギャップもプラスに転じてきているので、安倍さんの政策をそのまま引き継ぐのは時代の状況にあっていないのでは。サナエノミクスで最も重要なのは、成長戦略の部分になるのではないか。人手不足、供給不足をいかに解消するか。労働時間の規制をちょっと緩和するとか、デジタル化するとか、そのための投資がすごく大事になってくる」
「サナエノミクス」で私たちの生活は良くなるのだろうか。
「今の足元の状況は慎重に見なければならない。『高市政権の最大の野党は経済』という人もいるが、経済は政府が完全にコントロールできるわけではないし、実験もできない。さらに舵取りを間違えると大変なことになる可能性もあるため、私は、次の局面ではきちんとデータを客観的に見て、根拠に基づいて政策運営をすることが重要ではないかと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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