■2009年の政権交代、民主党政権時には何が

2009年の鳩山内閣
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 過去の野党連立による政権交代では、何が起きていたのか。2009年からの民主党政権で入閣した福島氏は「当時から全てはできなかったけれど障がい者政策、子どもファーストで子ども手当ての無償化や、農家の戸別補償制度もやってきた。だから100%でなくても今の社会をもっと良くするためにやれることはある」と実績を語る。

 ただ、これに反論したのが当時、経済産業官僚だった自民党・門ひろこ氏だ「私は20年、役人をやってきて、民主党政権の時も覚えている。すごく期待もしたし(民主党で)300議席を取り、これで日本は変わるのではと思ったが、1年ぐらい経って絶望に変わった。結局のところ、中でもまとまれず、外交でもミソがついて同盟国との関係でも信用を失った。あの民主党政権によって、日本国民の中で政権交代に対する強いアレルギーができた」と指摘した。

 さらに各国との交渉が難しい局面にある現在において「アメリカも中国もロシアも、なかなかとんでもないリーダーが揃っている中(野党連立で)その外交ができるのか。自民党政治に対する批判はその通りだが、野党のみなさんが今走っている特急電車の運転席に座れる覚悟と能力があるかと言われたら、20年役人をやってきた私からすれば極めて疑問」とも語った。

 共産党としても、民主党政権には批判をした立場だ。辰巳氏は「政権交代した時、野党として民主党をめちゃくちゃに批判した。なぜなら、自民党政治の継承だったから。政権交代はしたけれど、中身が自民党政治の継承であれば、それは期待を裏切ることになる。今度はやはり選挙を経て、政治を変えてほしいという有権者の思いが衆議院と参議院で出ている。自民党政治を終わらせるのが大事」と述べた。

 これらの意見に、青柳氏も意見を返す。「自民党内で政権が変わっても体質は変わらない。だから政権を変えなきゃいけない。今すぐに政権が変わって、超特急に乗って外交から安全保障まで全てできるのかと言われたら、その懸念は我々でも持っているし(門氏の指摘が)当たっている部分もある。だから私が申し上げたいのは、ガソリンの暫定税率や政治改革、あるいは消費税の問題など3点ぐらいに絞ってやればいい」。

 また他国を例に出し、政権交代が起きたとしてもいきなり長期に渡って、政権を握り続ける必要もないという。「イギリスでも、労働党が最初に政権交代した時は数カ月で崩壊した。2回目も1年で崩壊した。いろいろなノウハウ、政権を担う覚悟も我々は経験していかなければいけないし、それを諦めてもいけない。光の当たるところを適度に変えていくのは必要なこと。1党がずっとやっているとおかしくなるし、おかしい部分が出ているのは事実だ」と、一度自民党から政権を奪った上で学び、成長するものだとも主張した。

 ただ梅村氏は、野党連立が実現すると同時に、政治空白が起きることにも懸念を示す。「野党連立しようとなった時、誰がどこの大臣で、この政策はどうしようとなった時に、国民が望んでいる問題について結果を出せないことになってくる。ヨーロッパではいろいろな政党が連立を組むために組閣するのに300日、400日かかる国もある。そんな政治空白を生みかねないところもあるので、現実的には政策が合わせられる政党が連立を組むべき」と慎重だった。
(『ABEMA Prime』より)
 

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