■ワークライフバランスとは

渥美由喜氏
拡大する

 内閣府「働き方改革支援チーム」委員で、WLBやダイバーシティのコンサルタントである渥美由喜氏は、「アメリカの『ワーク・ファミリー・バランス』や、ヨーロッパの人口減社会を背景に、『すべての人が仕事以外もしながらみんなで活躍する』として、2007年に内閣府が音頭を取り、“ワーク・ライフ・バランス憲章”を定めた。すべての人が仕事をがんばり、それ以外をやりたい人も充実した生活を送れるように、働き方改革が行われたが、先進国で一番遅れている」と説明する。

 日本で働く人々には「仕事もがんばりたいが、仕事以外もやらざるを得ない状況」が存在している。「私は父を介護しながら、部長職を10年やった。仕事をがんばりたくないわけではないが、父が統合失調症で要介護になり、産まれたばかりの子がガンだとわかった。そういう人たちも人口減社会で活躍できないと、日本全体が活力を失うため、20年近く国は政策を進めてきた」。

 時代による変化があるといい、「10年前に女性活躍推進法ができて、就労継続だけでなく、キャリアとライフを両立するようになった。30年前は片働きが多かったが、今は共働きが主流だ。20〜30代はほとんど共働きで、仕事以外に子育てや介護をせざるを得ない。そういった女性活躍や共働き世帯への対応として、ここ10年で“WLB2.0”が進んだ」と振り返る。

■「SNSでは『WLBを捨てないとダメだ』など異なる文脈で拡散してる」
この記事の写真をみる(4枚)