■大事なのはカロリー計算よりも栄養素の種類
まず山田氏が「カロリー信仰」を疑問視するのは、そもそも正確なカロリー計算自体が困難だからだ。「消費者庁が栄養成分表示のルールを定めて、表示の義務を企業が負っているが、そのレベルでも±20%の誤差が許されている。1日トータル2000キロカロリーだと計算しても、実際には1600~2400キロカロリーのどこかに入っているというだけ」だと指摘した。
またカロリー制限によるダイエットはリバウンドの可能性が高いとし「データでは3年で50%、9年ではほぼ100%リバウンドする。動物実験では1カ月だ。人間は根性である程度リバウンドまでの期間を伸ばせるが、ほぼ必発といえる」と加えた。
理由は動物本来の生存本能だとする。「体重は、ほぼ生存本能で規定されていると考えられている。体重がその人があるべき体重より落ちていると『食べろ、食べろ』という指令が、生存本能から出てくる。意思の力で抑えられることは頑張っていてすごいと思うが、いずれ元には戻る」。
その上で、体重管理として重要とされているのが「脂質起動」という考え方だ。「糖質を控えて、油とタンパク質を食べている方が、圧倒的に体重管理が楽になる。その人が十分にエネルギーを摂取できていると思ったら、必ず満腹にはなる。ただし糖質が多いと、『この人は太った方が生存に有利だ』となり、太りやすくなる」とも説明した。体内にはある程度、脂肪を蓄えることも必要だ。「体脂肪をつけること自体、一定程度必要だ。それは飢餓に備えるためや、寒さに備えるためのもの。男性なら体脂肪10~15%、女性なら15~20%は全然問題がないレベルで、そのレベルに収束していくはず」。
脂質の摂取は、ダイエットする人から避けられる傾向も強い。「食べる油を控えると痩せると思っている人は多いが、そうするとエネルギー消費が勝手に落ちる。一時的にエネルギー摂取が落ちることで体重は減るが、おそらくは飢餓感が増してきて、あるいは満腹感が全く感じられなくなり、長い目で見ると確実にリバウンドする」と注意喚起した。
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