■パクリか否かのポイントは
江口氏の騒動を振り返る。9月末に江口氏作の女性の顔イラストが、ルミネ荻窪に掲示された。これをモデル・金井球氏が自分の顔だと気づき連絡し、「わたしの横顔が、知らないうちに大きく荻窪に…!?」と反応した。江口氏はSNSに「インスタに流れてきた横顔を元に描いた」「金井さんご本人から連絡があり承諾を得た」「彼女の今後の活躍にも注目してくださいね」と投稿。、過去の作品含めトレパク疑惑が次々と指摘され、、複数企業がイラスト掲載を取りやめる事態となっている。
著作権をめぐる問題などに詳しい一級知的財産管理技能士で作家の友利昴氏は、「江口氏のリアクションを踏まえつつ、絵を見比べると、江口氏は著作権の軽視や、他人の作品に敬意を払わなかったわけではないだろう。トレースに対するこだわりがあり、自分なりのポリシーを突き詰めて、ギリギリを攻めた結果、こうなってしまったのでは」との印象を語る。
元漫画家のペガサスハイド氏は「江口氏のリアクションが、炎上を加速させた。過去に『トレパクはいけない』といった発言をしているのに、それを自分がやってしまった。金井氏にお礼もおわびもなかった。こうした対応が、余計に炎上を加速させた」と見ている。
“トレパク”については、「トレース自体は悪いことではない。写真を手本にする練習手法は有益だ。しかし、そこに『パクる』が付くと、他者の作品をあたかも自分の作品のように世に出すことを指す」と説明する。「似顔絵師が、“依頼を受けた似顔絵”を世に出すのであれば問題ない。ただ、許可なく勝手に他人の顔を描いて、『自分が生み出した作品だ』とするのはいけない」。
知的財産権について、友利氏は「顔を勝手に広告に使った肖像権の問題と、写真を無断でトレースされた著作権の問題がある」と説明する。どの程度の改変であれば許されるかについては、「写真の特徴が、どれだけ忠実に再現されているか。肖像権の観点からすると、『その人だよね』とわかるほど似ているとアウトになる」と語る。
権利面においては「商業利用であるかは、あまり関係ない」。最近ではAIによる加工も問題視されがちだが、「どこまで変わっているかによるが、『元の写真と同じ人だ』となれば、やはり肖像権の問題は出てくるだろう。どこまでデフォルメされているか、忠実なのかが分かれ目だ」という。「人の顔は人権だ。商用利用であれ何であれ、無断で使われることに関しては、法律もかなり厳しく保護する」。
■これはパクリ?二次創作をどう考える
