Q.自作ボードについて、制作方法や機能（表情の変化の操作など）について教えてください。
A.
・全体のざっくりとした制作方法
璃奈ちゃんボードの本体は3DCADでモデリングを行い、3Dプリンターで出力しました。
顔面の表情にはテープLEDを使用しており、表示する表情などのプログラムはマイコンに記憶させています。電源は乾電池4本で、右の耳あての膨らんでいるところに入れています。
ちなみに璃奈ちゃんボードの大きさは私の頭のサイズを元に作成しているので、サイズがバレるとそのまま私の頭の大きさがバレるという致命的なバグがあります。
3DCADは今回が初めてで、YouTubeの解説動画を見ながら1つずつ部品を作成しました。3Dプリンターもこの制作のために購入しており、値段は3万6000円ぐらいでした。出力した際に誤差が0.1mm単位で発生するので、都度やすり掛けで調整してます。
・視界
前は見えており、常に薄目で見ているような視界です。璃奈ちゃんボードを着けたまま自在に動き回れるように、前面部分に0.6mmの隙間をマス目状に空けています。かなり近づかない限りはただの板にしか見えないと思います。
結構な頻度で「前は見えているのかな？」とじっと見てくださる方がいらっしゃるのですが、こちらから手を振ったりすると驚かれるので見てて面白いです。「深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ」という言葉を思い出します。
・表情の再現
顔の表情部分はテープLEDを使用しています。LEDを16個間隔で切っていき、切った14本を並べていくことで表情を出しています。このLEDは細さが4mmしかない超極細タイプなので、はんだ付けに尋常じゃなく苦労しました。
4mm幅なのに配線を3か所もはんだ付けする必要があり、極細タイプのこて先でないとはんだ付けできませんでした。璃奈ちゃんボード専用でこて先を購入したのを覚えています。
表情の切り替えはArduino nanoというマイコンを使用しています。璃奈ちゃんボードの右側面にマイコンとスイッチを5つ設置しているので、こちらで都度操作しています。スイッチの1つは電源で、残りの4つは表情を出しているLEDの操作用です。
・塗装
塗装はアクリル絵の具です。3Dプリンターで使っているフィラメントが少しだけ水に弱い性質があるのですが、アクリル絵の具は乾くと耐水性を発揮します。着色＋耐水性の補強という面で採用しています。
・璃奈ちゃんボードに実装している５つの機能
1.笑っている系の表情6種を1秒間隔で自動で切り替えるモード
メインはこちらの機能を使用しています。今回の記事で撮影していただいたのもこのモードの表情です。自動で切り替えることで「わっ、本当に動いてる！」と興味を持ってもらうことを意識しています。
ポージングと表情を組み合わせるとガチャみたいな感じになり、複数回撮影しても似た写真にならないようにしています。
2.悲しい系やビックリしてる系の表情6種を1秒間隔で自動で切り替えるモード
基本的に不幸な目にあった時のシーンや、ネタ性が強いシーンを撮るときに使用しています。悲しい系の表情を出していると心配されるので、通常時で使用することはないです。
3.LEDの明るさを変更する機能
明るさを8段階変えることが可能です。撮影している場所の明るさによってLEDの映り具合が変化するため、環境に合わせて明るさを変更しています。コスプレパレード等の移動しながらの撮影時は、明るさ変更しつつポーズを取っているのでわりと大変です……。
東京ビッグサイトの屋内だと下から2番目の明るさで、屋外の日陰だと光量MAXです。そして屋外の日向だとLEDの明るさが足りず、何も映ってないように見えるので撮影自体が出来ません。
4.自動で切り替わる表情を固定化するモード
表情を自動ではなくボタンで切り替えることが出来るようになります。基本的に特定の表情で撮りたい画がある場合に使用します。
自動で表情が変わる際に、ごく稀にカメラのオートフォーカスが悪さしてピントが合わなくなる場合がありました。その場合は表情を固定化してゆっくり撮れるようにこちらで対応しています。
5.「璃奈ちゃんビーム」という目の部分を虹色に光らせる機能
『スクフェス2』というゲーム内の1コマ漫画に出てくるネタ機能です。機能を作成したのは良かったのですが、『スクフェス2』自体が1年弱でサービス終了してしまいました。サービスが短かったことや新規ファンの方も多い影響で、そもそも璃奈ちゃんビームを知らない人が増えています。実装している機能の中で唯一「時の流れは残酷」と感じる機能です。
