■夫・光紀さんの問いかけ「何をしている時が楽しい?」

 何事にも自信が持てない弥生さんを救おうと、光紀さんはある問いかけをした。「何をしている時が楽しい?」。そこで思い浮かんだのは、小さな頃から好きだった「歌うこと」。自信を取り戻すきっかけになればと、弥生さんは夫やボランティアスタッフのサポートを受け、病院や介護施設などで歌う活動も始めた。

弥生さんの夫・光紀さん
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 光紀さんは「『失敗した』『できなかった』『悲しかった』『寂しかった』という記憶ばかり残るよりは、『誰と会ったかわからないが楽しかった』といったポジティブな感想が残るにはどうしたらいいか。外の世界と関わるのがいいのかもしれない」と考える。

 弥生さんは現在、車で逆走して以来運転はしていないほか、縦書きの文字が読みにくい、漢字が書けない、日付や複数の作業工程を覚えられないといった症状がある。一方、それに対するサポートを受け、手順を伝えてもらいながら家事を行う、日々の予定や出来事をノートに書いて確認、位置情報システムを紐づけてスマホ・カギ・大切なものなどを1セットにする、などの工夫をしている。

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