■「クマが人間を食べることを覚えてしまう」

緊急銃猟のイメージ
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 山に関する著書もある佐々木氏は、クマの生態そのものが変わり、人間を「エサ」と認識し始めている可能性も指摘する。「今年になって本州のツキノワグマが人を食べる事件が岩手あたりで3件、相次いでいる。この前は確か2016年ぐらいに、秋田で4人ぐらいが亡くなったが、あの時はすごく特異なケースだとされていて、歴史上ツキノワグマが人を食べたケースがないと言われていた。ただあれから8年で、同じ事が起きている」。

 また、人を食べた経験があるクマが増えることの危険性を訴える。「クマが死んだ人を食べることにより、その遺体が放置されると、その間に他のクマが食べてしまい、人間の肉(の味)を覚えてしまう。例えるならサルが芋を洗って食べる習慣が広まるように、秋田や岩手あたりでは、人を食べる習慣を持つクマがだんだん増えているという答えが出ている。それはとても怖い話だ」。

 人間とクマが偶発的に遭遇し、クマが驚いて襲ってくるのではなく、クマが人間をエサとして狙ってくるのでは、まるで意味合いが違う。「今まではツキノワグマも、人と偶然出くわし、猫が怖がって人間を引っ掻くようなものだったが、人をエサだと思ってやってくる状況だとしたら、局面が明らかに変わってきている。(クマ除けの)鈴も鳴らさない方がいいとも思える」と、クマを脅かすための鈴の音が、むしろクマを呼び寄せることにつながりかねないとも述べた。

 現在、クマの駆除は狩猟免許を持つハンターなどに依頼することになるが、佐々木氏は「今、クマを撃てるのは猟師しかいないが、その数自体がものすごく少ないし、高齢化も著しい。どうやって猟師を育てるかも問題だが、今は駆除する能力がない警察や自衛隊にも、クマを撃つ訓練をしてもらった方がいい」と提案もしていた。
(『ABEMA Prime』より)

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