■日本は人間とクマの生息域が近い?

仙台市で初の緊急銃猟
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 山林に近い住居に、山から下りてきたクマが農作物などを食べる。これが従来のイメージといったところだが、現状は大きく変化している。市街地での出没、目撃情報が続出し、20日には東京・青梅市でも住宅近くでクマが木の実を食べている痕跡が見つかり、首都圏にまで及んでいることがわかった。クマの生態に詳しい日本熊森協会・鈴木ひかる本部役員理事は「山の中にエサがなくなるような地球温暖化があり、メガソーラーの開発もある。クマが落ち着いて住んでいられないから出てきてしまう。市街地近くの緩衝地帯に(クマを誘って捕らえる)箱罠を置いてしまうのは政策のミス」と述べた。

 14日、全国で初めて「緊急銃猟」によってクマを駆除した仙台市の状況は深刻だ。仙台市議会議員・伊藤優太氏は「マンションが立ち並ぶ場所、地下鉄の駅前のような場所でも出没している」と、人が暮らすどんなエリアで出没しても不思議ではないと説明する。「住宅地に非常に近いところに出現したので、子どもを外に出せないとか、ごみ捨てにはクルマで行くという不安の声が寄せられている」と語った。

 山林に詳しい情報キュレーター・佐々木俊尚氏は、クマが住宅地にまで出てきた理由に、エサ不足とともに過疎集落の増加をあげる。「ヒグマの数は25年で倍に増えたと言われている。(エサ不足は)ここ数年の猛暑でブナ(の実)が不作になっていることが一番大きいようだ」とし、「山と人里の間で、過疎集落がどんどん消滅している。人が入れないような場所になったが、動物は行き来できる。動物が大量にいる場所が広がり、逆に人間の生息域が狭くなっている。20世紀の常識で、環境破壊でクマがいる場所がなくなったという人は多いが、逆に猛烈に森が広がって、人間の居場所が減っている」と指摘した。さらには「人が少なくて自然と接近している場所はまだしも、今は盛岡や仙台のような都市部でもクマが出る。日本ほどクマの生息域と人間の都市が近づいている国は他にない」と、世界的に見ても日本は人間とクマが住んでいる距離が近すぎると指摘した。

■「クマが人間を食べることを覚えてしまう」
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