一方で、チームみらい党首の安野貴博参院議員は、議員定数削減に反対の立場を取る。「『仕事をしてなさそうな議員は減らしていい』という感情論は理解できるが、1割減は失うものも大きく、冷静に見るべきだ。一番失われるのは“政治家の新陳代謝”で、二世議員じゃない人々の参入障壁が高くなる。我々のようなスタートアップ政党も生まれなくなるかもしれない」。
そして、「維新も元々、スタートアップ政党から始まり大きくなったが、最初の選挙は8割が比例で当選している。政治家の新陳代謝を大切にしないと、どんどん国民の新しい声が届かなくなってしまう懸念がある」とした。
人口あたりの国会議員数を、第1院と第2院(衆議院・参議院、上院・下院)で合計したデータがある。「日本の国会議員は多いのか。OECD諸国を見ると、人口比率で38カ国中36位(100万人あたり5.6人)と、あまり多くない。1位のアイスランド(176.5人)とは議会制度も違い比較しづらいが、規模が似ている議員内閣制の国を見ても、ドイツ(9.7人)の半分、イギリス(21.7人)の4分の1程度でしかない」。
こうした現状を踏まえた上で、「比例から削減して『身を切る』と言っても、自民や維新はあまり比例の割合が高くない。ここは冷静に見る必要がある。選挙制度改革は、私も維新と似た考え方だが、『1丁目1番地』として比例定数削減をやるのはどうなのか」と問う。
研究者の山内萌氏は「定数削減は本質的な議論ではない。仕事をしていない政治家に対する、ある種のヘイトに対して、『定数削減で身を切る』というパフォーマンスにしか見えない」といった疑問を持つ。
■“議員を減らす”精神論をどう受け止めるか
