■日本初のAI映画祭が開催
「AI日本国際映画祭」の代表理事を務める池田裕行氏は、開催される経緯について海外の勢いを間近に感じたことだと語る。「理事の中に海外で賞を取った人がいたが、彼によるとヨーロッパ、中国、アメリカではAI映画がすごく熱いと。映画祭も、AIの技術進化が早いので、年1回ではなく2回のペースでやっているという。オーストラリア、インドネシア、インドにもあり、韓国では3回も開催されるところも。一方で、日本にはない。AI映画を見たこともないとなると、また立ち遅れてしまうのではないかと思った。若い人も育てるきっかけを作りたかった」と述べた。
遠藤氏は、AI作品「マチルダ」を手掛けるまで動画編集の経験は、映画も含めて一切なし。70分のSF大作を、パートナーの男性と2人だけで、わずか3カ月で作り上げた。「この映画にプロが誰一人として入っていない。AIも映像も全く初めてで、パートナーもサラリーマン。会社の勤務を終えてから作っていた」と明かす。それでも長年抱えてきた伝えたいメッセージを、具現化できることに喜びを感じ「命がけ」と制作に熱中。最長で10秒までしか生成できない動画を何度も作り、OKテイクの一部を貼り付けるという工程をひたすら繰り返して完成させた。
AIだからこそ、実際のセットや俳優を使うよりもはるかに低コストで作成はできたが、映画に出てくるキャラクターの演技には、満点は出せていない。「悲しみや怒りの表現などは、実写で俳優さんに演技してもらった方がはるかに簡単。AIの倫理的なリミットもあり、暴力的だったりラブシーンだったりは(指示をしても)全然出てこない」と、AIならではの悩みもあるとした。
■AIが発展したら役者はいらない?
