■炎上に巻き込まれた当事者の思い

碧志摩メグ キャンセルの経緯
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 海外のメディアからも取材が入るほど、このキャンセルカルチャーに巻き込まれた当事者がいる。三重・志摩市をPRするために作成された海女をモチーフとした萌え系の女性キャラクター「碧志摩メグ」を生み出した浜口喜博氏だ。碧志摩メグは2014年に誕生、志摩市の公認キャラクターとして発表された後「半年ぐらいは全く炎上していなかった」が、翌年に「未成年女性の性的なものを表現し、公共の場所で公開していることは疑問」といった署名が309筆集まった。これに市は「好意的な意見も多くデザインを変更したい」と対応したが、伊勢志摩サミットを翌年に控えていたこともあり、国内外のメディアで報道され、さらに炎上。最終的には、作成した浜口氏の意向もあり、市は公認を撤回した。

 自ら市に公認撤回を申し出た浜口氏は「キャラクターは女性のファンも多かったし(モチーフにした)海女さんも受け入れる体制にはなっていた。ただ外部の人から、海女さんたちが非難を浴びることになった経緯もあり、これは本意ではないと私の方から公認撤回にした」と語る。炎上騒動を取り上げた国内外のメディアは、1カ月で100社を超えたという。

 署名では「女性の性的なものを表現」としたが、浜口氏はあえてそこを狙っていたものではないと否定する。萌え系の女性キャラが若者に広く受け入れられていることを理由にあげた。「私はもともとバイクレーサー。鈴鹿8時間耐久レースというものがあるが、若い子たちが知らなくてものすごくショックだった。若い子のカルチャーを取り入れないと衰退すると思い考えたのが、アニメとのコラボ。『ばくおん!!』というアニメとのコラボで『痛バイク』を走らせたら、すごく効果があった」と経験を語る。

 さらに碧志摩メグの作成にあたり、男性スタッフが女性を性的に描こうとしたという見られ方について「一緒にプロデュースしたスタッフには女性の方もたくさんいる」と説明。性的すぎるという指摘に、キャラクターのバストサイズを調整したり、スカート丈も長くしたりと対応はしたが結局、炎上は収まることがなかったと振り返った。

■キャンセルカルチャーを乗り越えることも
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