「ひとりじゃない」つながるがんサバイバーの想い
現在、世界では36カ国で行われているという「リレー・フォー・ライフ」。最初の1周目は、「サバイバーズラップ」と呼ばれ、がん患者やがん経験者が歩く。
説明会に参加していたシディキさんも家族と一緒にコースを歩いた。
「灯篭のメッセージを読みながら歩いていたんですけど、うるっとしたり、自分の友人と重ねたりして、感慨深かったです」(シディキ佐衣子さん)
「自分自身もしくは自分の家族や自分の従業員が万が一そういったことになったときに、自分が寄り添えるような人間になれたらいいなと思っている」(シディキさんの夫)
一生のうちにがんと診断される日本人は2人に1人。「AYA世代」(=15~39歳の患者)と呼ばれる若い世代も例外ではない。AYA世代のがんサバイバーがつくる患者会は、若い世代の声や悩みを知ってもらうためのブースを出展した。
「例えば学生のうちだと、まだ進学も仕事も恋愛もしてないと1人で悩んでいることが多くて、それを言う人がいない。家族に言うと今度は家族が心配しちゃうとか。そういうのを仲間が集うことによって、解決しなかったとしても自分の中で何か答えが出てくる。私もそういうことあったよって、1人じゃないんだって思える」(がん経験者の多和田奈津子さん)
「ひとりじゃない」。多くのサバイバーは、さまざまな人たちと共に歩くこのイベントに参加して、そう感じることができたようだ。
「こういう活動をする前は、周りにがんのお友達がいなくて孤独だったんですけど、会うと想像以上にがん患者って多いんだなって分かって、周りの人が頑張っているから自分も頑張ろうとか、みんなで長生きしようとか励まし合いながらできるっていうのがいいですね」(がん経験者)
日が沈み、会場には「HOPE」(=希望)の文字を形取る灯篭の光が浮かび上がった。その灯りは参加者の足元を優しく照らしていた。
そして午前5時20分、夜明け前の数分、空は深い紫色に染まった。「ドーンパープル」と呼ばれ、イベントのシンボルカラーとなったこの色は、がん患者が不安で眠れない夜を乗り越え、次の日を迎えられたときに見られる空の色であり、希望の色だそうだ。
がんサバイバーの想いが周りの人へ広がり、1人1人の行動が未来のがん医療を変えていく。がんで悲しむ人がいなくなる日まで、歩みは続く。(『ABEMA Morning』より)
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