■太陽光発電は国内に約70万件

メガソーラーとは
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 メガソーラーの定義は、出力が1MW(1000kW)以上の大型太陽光発電施設を指す。約300世帯の年間消費量を補え、建設には2~3ヘクタール、サッカー場のフィールド1.5面分以上の敷地が必要だ。国内には7234件あり、これは全太陽光発電の38.9%を占める。メディアなどで取り上げられる東京ドーム何十個分のものは「大規模メガソーラー」とも呼ばれ、その数は10~20件程度。一方、大掛かりな開発を必要としない中小規模のものを合わせれば、約70万件も設置されているという。

 エネルギーアナリストの大場紀章氏は「(中小規模合わせて)70万件、メガソーラーでも7000件。そのうち環境破壊を起こしている10~20件を例にして、メガソーラーの是非を議論するのは結構難しい」とし、鴨川市のケースについても「規制が追いつかなかった不幸な例」と説明。現在とは異なる規制のもとに進んでしまい、簡単に止められるものではないと述べた。

 鴨川市内のメガソーラー建設に関して、議会で追及した鴨川市議会議員・佐藤和幸氏も、全ての太陽光発電を否定しているわけでもない。「鴨川の悪しき例が注目されることで、本来推進していかなければいけない再生可能エネルギーが悪いものだという印象がついてしまう。今はソーラーシェアリングが流行っていて、耕作放棄地のようなところにソーラーパネルの天井を張り、その下でにんにくを育てるようなこともしている」と語った。

 現在でも次々と新たなメガソーラー建設が進んでいる印象も持たれるところだが、実際にはそうでもない。大場氏によれば「新規案件はピーク時の0.8%しかない」という。「今30MW以上の施設には環境アセスメント(環境影響評価)が必須になっているし、そもそも電気の買い取り価格が劇的に下がっているので、事業スキームとしてそれほど良くない。規制をかけて防ぐといっても、そもそも新しい案件がほとんどないので、遅きに失している」。

 今後、爆発的な設置件数の増加はないとしても、問題は多々ある。その一つには、太陽光パネルの寿命がある。パネルは25~30年程度で張り替えが必要になり、開発が大幅に進んだのが2010年代と考えれば、2040年ごろから大量の廃棄物が発生すると見られている。これに伴い、不法投棄や処分場の逼迫も懸念されている。政策アナリストで元経産官僚の石川和男氏は「おそらく放置されるパネルが相当増える。それはもう大手の電力会社やガス会社、事業者にインセンティブを与えても集約して管理してもらうようにしないといけない」と提案する。ある種、バブル的に乱開発が進んだものを、正しく管理していく仕組みが必要だとした。

■脱原発から脱炭素へ
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