賑やかで笑顔が絶えない家族だが、実は過去に大きな困難があった。夫婦はともに中学校の教員だったが、三男が1歳の時に心臓の大きな病気がわかったことで、人生が一変した。
3歳で大手術を行い、成功したものの、妻は「心臓という場所なので、いろいろなケアが必要。教職を続けることよりも、その子の命を守ることを選んだ」と退職を決意。長男も、「妻ばかりでは大変だし、僕もできるだけ一緒にいたいなと。塾は学校より時間が拘束されないので、夕方から夜までの仕事を選んだ」と、転職した。
22歳になった三男は現在、家を出て水産大学校に通いながら、エビを使ったドレッシングを開発して起業するなどバイタリティ溢れる活動をしている。病気で苦しんだ経験から、「『同じ病気の人や医療従事者の希望になった』と小学校の頃から言われていた。闘病中にドレッシングをかけて病院食を美味しくしていたので、それが自分の人生を表す味だなと。病気がきっかけで表現できるものを持っておこうと思って、今こういう活動につながっている」と語った.
捜索隊は、長男夫婦の案内で、7年前に亡くなった父が1人で整備していたという裏山へ向かった。生前、「山の木で孫3人のお家は建てられるからね」と嬉しそうに話しながら、檜(ヒノキ)の木が生い茂る山を整備していた。
山を登って現れたのは、巨大な椎(シイ)の木だった。妻は、「大きいでしょう。森の主です」と誇らしげに紹介。樹齢は700年とされ、父は「奥にすごくでっかいやつがいるんだよ」と話していたという。父の愛情と努力によって守り継がれてきた「森の主」を前に、捜索隊は感動に包まれた。
困難を乗り越えた夫婦。長男は、「今、母と日々いられることが最高です」と語る。妻は、「子どもたちが『引き継ぎたい』と言っていて、自然な流れになったらいいなと。音楽イベントをしたり、いつかは宿泊できるようにしたらどうかなと、いろいろなことを試しています」と笑顔を見せた。(『ポツンと一軒家』より)
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