■保険適用除外したら薬の値段は高くなる?安くなる?
OTC類似薬と市販薬の価格を比較した。アレルギー性鼻炎(1日1錠、28日分)の場合、OTC類似薬の一部負担額は170円(アレジオン錠20)なのに対して、市販薬の価格は2000円(アレグラFX)と12倍になっている。同様に、去痰(1日3錠、7日分)は60円(ムコダイン錠500mg)が2500円(ムコダイン去痰錠Pro500)の42倍、解熱鎮痛(1日3錠、4日分)は40円(ロキソニン錠60mg)から700円(ロキソニンS)の18倍、皮膚炎(1調剤、10g)は60円(ベトネベート軟膏0.12%)が2000円(リンデロンVs軟膏)の33倍となる。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「市販薬は需要が少ないから高い。OTC類似薬の方が安いから、みんな医師に診察してもらう。需要が増えれば、値段が下がる。おそらくコストの約8割が、物流と在庫などの流通で使われている」と考える。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「『アレルギー性鼻炎薬が2000円はもうかるから』と大量に出回れば、結果として安くなり、『処方してもらっても、薬局で買っても変わらない』となる。始まってしまえば、ジェネリックが大量に出て価格はどんどん下がる」と予想する。
しかしながら、「持病の薬を処方箋でもらっていた人の医療費が増える」という側面もある。「高額療養費制度で返ってくるのは、あくまで保険対象の治療に関してだけだ。アトピー性皮膚炎の治療薬が保険適用外で自腹になると、医療費が上がってしまう人もいる」。
こうしたケースについて、猪瀬氏は「それはお医者さんに行けばいい。例外をもって、原則を否定してはダメだ。ひろゆき氏が言ったような例が出てきたら、お医者さんへ行き、それでも治らなければ大病院へ行けばいい。ただそれだけの話だ。そもそもの医療体制はできている」と返す。
夏野氏はこれに同意し、「持病がある人は、定期的な診断が必要だ。症状悪化の有無によって、処方する薬の量も変わる」としつつ、「そうではなく、『ちょっと熱が出た』『腰が痛い』といったケースだ」とする。
猪瀬氏は「行かなくてもいいのに行く回数が多い“頻回受診”がある。75歳以上は1割負担で安い人が多いため、頻回受診が多くなる。それを減らすだけでも、医療費はかなり削減できる」といった課題も示す。「アメリカではOTCが競争で、どんどん安くなっている。日本では『お医者さんに行くと7割引になる』と錯覚しているが、その保険料は自分たちが払っている」。
(『ABEMA Prime』より)

