■“大阪ありき”に法政大教授「ウルトラC」

 副首都構想の1つの大きな目的である「災害時等のバックアップ」について、高島市長は、考えられる災害は「1つではない」と指摘。「首都直下地震であれば、新幹線ですぐの大阪は良いと思うが、南海トラフ地震で大阪が被災した時にバックアップできるのか。同時被災のリスクが少ないのは日本海側、大都市で考えると福岡は適地ではないか」との考えを述べる。

福岡は大阪に勝てる?
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 副首都に選ばれる条件として、維新の骨子案では、(1)大都市地域における特別区の設置に関する法律による設置が行われている、(2)都市機能の集積の程度が高く経済活動が活発に行われている地域を含む、(3)東京圏が災害により被害を受ける場合に同一の災害により被害を受けるおそれが少ない、としている。

 これに高島市長は、「“万が一のバックアップを考えよう”はみんな乗れるし、“東京一極集中を分散しよう”も納得できる。これらを一箇所にまとめようとしたり、人口200万人以上の特別区だとなるから、“大阪のためじゃないか”という話が出てくる。福岡市も、10市7町の福岡都市圏で見れば人口は260万人。面積を広くして“これで1市です”と言えばクリアできるわけで、数字によって目的と手段があべこべになっている」と、大阪ありきに疑問を呈する。

 その上で、「1990年代や東日本大震災の後にもバックアップの話が真剣に議論されたが、予算の観点から下火になって消えていった。日本にとっては絶対考えなければいけない大きなイシューなので、大阪のためではなく、オールジャパンとして議論を深めてほしい」と主張した。

 公共政策を研究する法政大学大学院教授の白鳥浩氏も、維新のアイデアは「大阪都構想」と「副首都構想」をミックスさせてしまっているとコメント。「地方自治の話と、国家戦略の話は全く別物。国の話になると住民投票はやる必要がないので、随分なウルトラC。ここは切り分けていく必要がある」とした。

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