■幼少期から贅沢すると舌が肥える?

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 天現寺さんの食育について、小児科医・久保田恵巳氏は「食を通して、そこから何を学ぶかが大事」と述べる。「なぜ高級食材はおいしいのか、それは産地なのか。ファストフードなら、気の置けない仲間と食べる楽しさもある。そういうことをきっちり学んで、子どもの心身を豊かにすることを学んでいってほしい」。

 「舌が肥える」と表現されるように、幼児期から高級なものを食べることで、他のものがおいしく感じられないようなことは実際に起こるのか。「甘みへの感受性が高まることはあるが、それ以外に関してはあまりエビデンスがない」。また“おいしい”と感じることは、味覚のみではないとし「今までの経験値や雰囲気、見た目、食感など全てで『おいしい』と感じることにつながる。高級食材だからおいしいと感じるわけでもない。やはり人が心を込めて作ったものをおいしく感じる、情緒を育てることが一番大事」と説明。高級食材を食べ続けることで、子どもの「舌が肥える」ことを科学的に裏付けるものは、明確にはないとした。

 近畿大学情報学研究所所長・夏野剛氏は“好き嫌い”という観点からは、高級でおいしいものを食べることの意味も大きいと述べる。「おいしいものを食べた方が、好き嫌いがなくなる。僕は小さいころトマトとキャベツが嫌いだったが、それは給食でキャベツにかかっていたソースがあまりにまずかったから。アレルギー以外で世の中に食べられないものはないのに、まずいものがあるから嫌いなものが増えていく」と私見も述べた。

■子どもの「習い事」は意味ある?
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