歴代総理は「台湾有事」や「存立危機事態」をどう説明していたのか。安倍晋三総理(以下、いずれも当時)は2015年9月、「他国のために行う集団的自衛権ではなく、まさに我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、そして幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときに、そして他に手段がない、さらにはその行使は必要最小限度にとどまるべき」と答弁していた。

 岸田文雄総理は2022年10月、台湾有事に関する質問に対し、「我が国の対応は個別具体的な事態の状況によって決まるものであり、現時点で断定的にお答えすることは控えなければならないが、いずれにせよ、憲法、国際法、平和安全法制を始めとする国内法令に従い、具体的な対応を考えていく」と答えている。

 石破茂総理は2024年10月、「台湾有事という仮定の質問に対し、私の認識を含め、政府として答えることは差し控えるが、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決することを期待するというのが、我が方の従来からの一貫した立場である」としていた。

中国を刺激しない“戦略的あいまい性”をとってきた
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