なぜ保育料は経費にならない?税理士が解説
保育料が経費にならない問題について、街の人はどう思っているのだろうか。
「働く人の環境を整える意味では、保育料やベビーシッター代も経費に含んで良い。会社は人がいないとまわらないので」(商社勤務30代)
「(経費で落とす)こと自体を考えたことがなかった。家事サポートとかありがたいと思うので、そういうのが(経費で)落ちたらいいな」(会社員30代)
経費にならないことを受け入れながらも、『言われてみれば確かにおかしくない?』という気持ちがむくむくと膨らんでくる保育料やベビーシッター代の税法上の取り扱われ方。なぜ経費に認められないのか。西村税理士事務所・西村真依氏が語った。
「『キャバクラは経費になるのに』と比較されると思うが、事業遂行上必要かどうかというポイントでみる。子どもを預けないと仕事ができないというのは、当然かなと思うが、そこと結びつけて考えていない家事費、プライベートな支出という風にみられてしまう」(西村税理士事務所・西村真依氏)
「保育料=家事費」とされているため、必要経費の対象から除外されているという。
そんな多くの子を持つ親を長年悩ませてきたこの問題にメスを入れる動きがある。「保育料を経費に!訴訟」と銘打って弁護士らが立ち上がり、国を相手取って今年2月に提訴。先日11月18日に第3回口頭弁論が開かれたばかりだ。弁護団の戸田善恭弁護士は、時代に合わせた法律の修正が必要だという。
「今の保育所制度ができたのが1947年の戦後だが、その当時の社会状況は、戦争でお父さんお母さん亡くしてしまったり、子供の救済のためという、社会的なニーズがあった時代だ。その時代が前提としている考え方は、基本的に女性が家で子育てをするという考え。その発想がまだ結構染み付いている部分があると思っており、アップデートが必要なのではないか。それを裁判で光を当てることができる」(戸田弁護士)
そもそも“必要経費”と“家事費”って?何が違う?
