■2025年度はインフルエンザ患者がハイペースで増加
2025年度のインフルエンザ報告数を見ると、前年度に比べてもかなり流行の時期が早い。2024年度は統計開始以来、最多となる約32万人だったが、それは12月5週になってから。しかし2025年度は11月3週の時点で、既に15万人を超えた。一方、ワクチンの接種回数を見ると、2020年度から2021年度にかけてガクンと下がり、以降も徐々に減少している。
飯田さん(60代女性)は、なんとなくワクチンを打ちたくない人の一人だ。きっかけは、コロナワクチンだった。「コロナ前は打っていたが、コロナワクチンを2回受けた時の2回目が、副反応がひどかった。それからはインフルエンザワクチンも打たなくていいかなと思った。症状も人それぞれだし、ワクチンを打っても(流行する)型が違うことがある。予防接種をしても当てはまらないことがあるなら、なんだか無意味なのかな」と、ワクチンに対する意欲が下がった理由を述べた。
聖路加国際大学の客員准教授で、公衆衛生学を専門とする坂元晴香氏は、飯田さんのコメントを聞き、理解を示す。「(ワクチンが嫌だという人は)実数として増えているとは感じないが、やはりコロナがありワクチンの話題が増えた。お話の通り、副反応も出たりするし『なんとなく嫌だな』とか、『打ちに行くのがめんどくさい』『お金がかかる』『忙しい』などの理由で、基本的にワクチンは積極的に打ちたくなるものでもない」と述べた。ただ、医者の立場としては「我々としては、どうやって打ちやすいとか、打ってもいいかなと思えるようなコミュニケーションが大事だと思う」と添えた。
ワクチンに対する姿勢は、大まかに3タイプに分かれるという。1番目は「積極的に打つ人」、2番目は「なんとなく打たない人」、そして3番目が「明確に反ワクチンの人」で、坂元氏によれば、多数派は2番目、少数派は3番目だという。
坂元氏は「大多数の人は2番目。反ワクチンや陰謀論のようなものを信じているわけでもなく、ただしワクチンは打ってもかかるし副反応は嫌だし、打たなくてもかからない時があるので、大多数の方が社会の様子を見ている。科学的な根拠については理解しているだろうが、そこまで自分にメリットを感じない人も、ここに含まれる。あとは費用対効果。お金を払ってまで打ちたくないと思う人もいて、ここにはすごく幅がある」とも説明した。
■ワクチン接種のリスク、どう捉える?
