■海外の研究者で繰り広げられる激しい競争

島袋隼士氏
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 中国の雲南大学西南天文研究所准教授の島袋隼士氏は、宇宙の進化を理論的に調べる研究をしている。東北大学理学部を卒業した後、名古屋大学大学院を修了。その後はフランス・パリ天文台、中国・精華大学でポスドク(ポストドクター/任期付き研究員)として過ごした後、2019年から現在の雲南大学で准教授のポストについた。

 雲南大学に勤めるまでの経緯について、島袋氏は「ポスドクは期間があるので、やはり安定したポジションが欲しいと思った。そんな時に応募した雲南大学で、任期なしのポジションを提示されたので中国に移った」と語る。給与としては、十分暮らしていける程度ではあるが、突出して高待遇というわけでもない。むしろここでも競争の激しさが見て取れる。

 また「中国で研究費の申請書を書いたが、競争がものすごく激しくて、今回の研究費の採択率は10%を切るというレベルの戦いだった。今は安定したポジションでもあり中国の研究環境はいいが(ともに研究する)学生に対しての給料を払わないといけないし、そのためにも研究費を取らないといけない。だからこそ研究費獲得のプレッシャーはすごい」と、安定したポストについたからといって、常に競争にさらされる状況は変わらないとも述べた。

■日本の研究者、どこで活躍すべき?
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