■問題視されるべきは国籍ではなく投機?
昨今の高騰抑制策をどう見るか。金氏は「不動産投機を減らす目的があるが、取引量は減少しても、価格はまだ上昇している」として、その背景に「資金調達の多様化」を挙げる。韓国では6月に住宅融資枠を制限したが、「銀行だけでなく、家族や親戚からもお金を借りる。株価高騰で株式市場から調達する人もいる。現金を10億ウォン以上持つ人も、韓国内に50万人以上いるとされ、規制に関係なく住宅を購入できる環境になっている」という。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は、「日本でも韓国でも『外国人を規制すれば解決するのでは』と言われるが、外国人の投機をやめさせたいなら、日本人もやめさせないといけない。それは簡単で、居住しない物件の固定資産税を5倍などにすればいいだけの話だ。住宅ローンも『居住の有無』で明確に区別できている。それもやらずに外国人の取引規制をするのは、経済政策として効果のない単なるパフォーマンスだ」とした。
元経産官僚で自民党東京第8選挙区支部長の門ひろこ氏は、「取引における実質的支配者がわからない。よくわからない人が土地や住宅の所有権を持っていて、全然違う使い方をしているのに、国は何もできていない。日本はG7で唯一、『不動産ベース・レジストリ』(登記情報を一元化したデータベース)がないので、これをやろうとしているが、これらで不透明な取引を抑制する」との方向性を示す。
また、「外国人のみ固定資産税を上げるのは、憲法や国際条約に引っかかるため難しい。ただ、実質的な支配者を明らかにした上で、居住の有無を明らかにするのは、いま高市政権が進めている政策だ。おそらく『不透明な取引による投機への対策が打てていない』ため、外国人をねらい撃ちにしている」とする。
夏野氏は「日本では、情報を不動産会社が持ちすぎて、業界が効率化されていない。1カ月に1件扱えば、それで食っていけるような不動産業者が都心に山ほどある」と指摘する。「これにより、必要以上に価格が上下するなど、操作された価格になっている。税制を変えるとともに、不動産業界を改革しないといけない」。
(『ABEMA Prime』より)

