■「マイクロアグレッション」とは

うっかり差別発言とは
拡大する

 うっかり差別発言「マイクロアグレッション」とは、意図の有無に関わらず特定の人や集団への偏見から生まれる否定的な表現を指す。悪意がないため自覚がしにくく、差別やハラスメントにつながることもあるという。具体的には人種、宗教、出身地、性別、障がい、年齢などがあげられる。

 社労士の村井真子氏は特に「個人」ではなく「属性」として扱うことが差別につながると表現する。「マイクロアグレッションは(発言している)本人の中では正しい価値観に基づいているケースがほとんどなので気がつきようがない。例示してもらって意識しやすくすることがある」と、今回のポスターのように示すことで、意識が高まると説明した。

 “うっかり差別発言”とも呼ばれるだけに、発言した人が褒めていても受け取る側が不快に感じることもあるところが難しい。「『女性だけど上手い』というものがあった時、男性だったら同じように言ったかどうか。属性で判断しているところが、マイクロアグレッションの問題の深いところ」だと補足した。

 コンプライアンスやハラスメントといった言葉が多く聞かれるようになった中、今回のマイクロアグレッションは批判を受けている側面もある。情報キュレーター・佐々木俊尚氏は「属性について落とすことがダメで、属性がなければOKというのは一つの線引きだとは思うが、それをみんなが理解できるかといえば、すごく難しい。それがマイクロアグレッションが批判されている最大の理由の一つ」と指摘する。

 「ともすれば、自分が差別されていると感じれば、それで差別になってしまう」」「一般社会の側からも、差別の問題に一切口を出さない方がいい、言及すると差別だと言われるという恐怖心を煽り、断絶を生んでしまう」と語る。

■嫌な気持ちへの配慮…”敏感”度合いどこまで?
この記事の写真をみる(4枚)