三原港から船で約30分の場所に、瀬戸内海に浮かぶ生口島がある。人口約8000人のレモンが名産の島だ。実は行方不明になった翌日、この島の橋の上で、恭暉さんのスマートフォンと漫画が発見された。
母親は「頭の中、真っ白になった。第一に橋の上から飛び込んだのかなと思ったが、海上保安庁も出てくれて、船が3艘、飛行艇が1機、3日間かけて探してくれたが出てこなかったので、『海に身を投げた可能性はない』と」と振り返る。海上保安庁の捜索では、海に転落した可能性は極めて低いと説明を受けたという。
スマホの中身は見られず、「いくら親が契約者であっても、子どもが使っているものの中身の開示はしてくれなかった。事件だったら警察から開示できると思うが、事件ではないので、手がかりが携帯の中にあるかもしれないのに中身が見られない」と嘆く。
母親は恭暉さんが立ち寄った可能性があるすべての駅で降りて、防犯カメラの確認をしてきた。警察によれば、目撃情報は3年間で約190件、今年は12月6日時点で11件にとどまっている。それでも、目撃情報があった場所や、大阪・西成の炊き出し会場などでもチラシを配り、情報提供を呼びかけてきた。「3年前と変わらず、手がかりが全くない。何回も探すのをやめようと思った。(来年)3月で成人になるので、『顔見たいな、声聞きたいな』というのはずっと変わらず……」。
恭暉さんの帰りを待ち続ける家族の思い
