■1人当たりの政策経費に大きな格差

川を越えただけで…
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 東京に隣接する県の議員たちからも、是正を求める声があがる。埼玉県議・田村琢実氏は「偏在がかなり厳しい状況だ。令和3年度で見れば、1人当たりの政策経費は、埼玉県が6600円だが、東京は6万7600円。10倍以上の差がある」と指摘。財源格差が影響している例として、保育士の補助事業では「埼玉の川口市と、東京の足立区・北区は接しているのに、月の給与が5~6万円も違う状況がある。そのため人材も東京に流出する」と語る。

 千葉県議・折本龍則氏は、市川市が東京・江戸川区に隣接している例として「旧江戸川を挟んですぐに東京だが、高校の授業料無償化で言えば、同じ学校に通っている生徒でも東京の生徒は無償、千葉県から通う生徒は授業料を払うような不条理が生じている」と語る。また「コストで比較するのはナンセンス。東京もコストがかかるから財源もあってしかるべきという話では、地方間格差は是正できない。やはりいかに地方の行政サービスを上げて、格差を是正していくかの議論をしなければいけない」と訴えた。

 ただ東京都の言い分もある。前東京都議・川松真一朗氏は「本来だったら東京に入ってくるはずの1兆5000億円が国に召し上げられている。地方のみなさんと共存共栄は考えているが、事情も聞かれずに国が一方的にルールを変えるような強引なやり方については、もっと議論をしてほしい」と述べる。また自民党・土田慎衆議院議員も「東京ばかり儲かっているというのではなく、東京も含めてどれだけコストがかかっているかを合理的に分析しなければいけない。地方に財源を出すという話になった時、我々も有権者のみなさん、都民のみなさんに説明が必要だ。都民のみなさんも生活は本当に苦しい。『東京だけいい思いをしている』と羅列されても、みなさんは実感がない。こういう理由があるから地方に金を出さないといけないという『見える化』が必要だ」とした。

■ひろゆき氏「東京が地方に還元を」
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