そこで実際に、青森での地震のフェイク動画をフェイク検出サービス「KeiganAI」にかけてもらった。今回調べてもらったのは、およそ10秒の動画で、1秒の30分の1となる1フレームずつをAIがチェックしていくという。
鈴木氏は「この動画に対して、総じてフェイクの可能性があると見ています」とコメント。動画の場合チェックする項目は大きく分けて「物体や背景に現れる不自然さ」「動きに現れる不自然さ」「人間の顔に現れる不自然さ」の3つ。それぞれの項目に対し、AIがどれだけ不自然さを感じたかをグラフで表示する。
鈴木氏は「特に前半、その辺りのシーンをけっこう怪しいと見ている」として、AIが不自然さとして指摘したのが「背景の電線が一部途切れている」部分だと説明。該当の部分をコマ送りで観てみると電線が不自然に途切れており、AIはわずかな不自然さも見逃さずに発見していた。
フェイク動画に騙されないため、どこに注目したらいいのか。鈴木氏は「一番わかりやすいのが『Sora』のロゴが出ている。2つ目が、人であれば“人らしさ”、クマであれば“クマらしさ”。毛並みや人間の肌の質感などが妙に均一すぎること。動きの不自然さとして、ケンカしていたら殴った先に影響があまり出ていないとか。人であれば、指の数が6本になったり4本になったり。何かを掴んでいるとき、掴み方がおかしかったり、そういう不自然さがある」と、ポイントを解説した。
調べた上でリアルかフェイクかわからないものもあるのか。「『フェイクの可能性がある』で終わるものはある。AIの領域は世界中で優秀な技術者たちが日々進化させたり新しいものを作っているので、中には恐らく我々が検出としてキャッチアップしきれていない新しい技術が急に出てきた場合、機能しないこともあるとは思う」とコメントした。
「世界最高性能のフェイク判定技術」の実現に成功した人物
