■もし痴漢だと疑われたら…元警察官に聞く最善手

スズキさん
拡大する

 痴漢を扱う生活安全課などに務めた元警察官のスズキさんは、「取り調べのポイントは、被害者の供述との整合性だ。『どの車両に乗っていたか』『どの部分を触られたか』などを被害者と容疑者に聞き、整理していくところにある」とする。

 また、「現場での検証や再現で、実際の車両などを確認しながら、証言を裏付けていく。その過程の中で、まるさんの発言と食い違っていて、警察が被害者に質問したところ、結果的に別の人だとわかったのではないか」と推察する。

 それぞれの主張がずれている場合には、「第三者である目撃者に協力してもらい、第三者と被害者、容疑者の説明に食い違いはないかと、整合性を取る場合もある」と話す。

 容疑者が否認する場合には、客観的な証拠も必要となる。「防犯カメラが増え、DNA鑑定の精度も上がってきている。客観的な証拠の価値が上がってきているのに加え、目撃者の証言も大切になってきている。証言だけでの検挙は、冤罪(えんざい)も増えるため、考えにくい」。

 「痴漢だと言われても応じてはいけない」といった意見もあるが、「警察的な観点では、その場にとどまる方が、嫌疑が晴れる可能性がある。男性は冤罪を気にして、満員電車で意識的に手を上げる人も多い。その様子を見ていた人から、『手を上げていた』という証言を得られる場合もある」と考えている。

■「異変を感じた時は、声をかけてあげることが大切」
この記事の写真をみる(10枚)