試合は昇也が前日に行われた公式計量で800g超過したことにより、双方話し合いのうえで実施されることとなったが、昇也に減点1とグローブハンデ、ファイトマネーの20%没収(KOTAROに支払われる)などが課された。さらに「KOTAROが勝利した場合のみ公式記録とする」等の厳しい条件が付いたうえでゴングを聞いた。結果は2ラウンド、昇也の左ハイによる鮮烈なKOシーンが生まれたが、公式記録には残らない「無効試合」扱いとなった。

 試合は序盤から緊迫感に包まれた。中継でKOTAROが1階級下の選手であり、1週間前に代打出場が決まったことなど不利な状況が明かされると、それらの背景もあってか、減点1とグローブハンデを負う昇也の出だしはどこか硬く、動きも重かった。

 ABEMAで解説を務めた宮田充Krushプロデューサーは「昇也くんが計量オーバーした申し訳なさが試合に出てるような気もしますよね。真面目な子なんで…今回が初めてじゃないんですよ」とコメント。さらに昇也のジムの会長と話し「次はスーパーライトで」といった会話があったことも明かし「計量オーバーは皆が嫌な思いをする。いい選手なので、今後は気を付けてほしい」と期待も口にした。

 これに対して解説の卜部弘嵩は「(申し訳なさが試合に出てること)それは良くないですね」と応じた。1R終了後にも「ちょっと気を使ってるんですかね体重オーバーの。僕はその気持ちがお客さんに対して失礼だと思うんです。そこは試合だと割り切って行くべきだと思うんです」「相手に対してというのは、一旦昨日で終えて、プロだったら気持ちを切り替えて行くしかない。お客さんを喜ばせないと」と、プロとしての厳しさを求めた。

 そんな放送席の”選手の心構え”の激論が交わされるなか迎えた2ラウンド、試合は衝撃のエンディングを迎える。プレッシャーを掛けながら右のフックを当てた昇也は、間髪入れずコンパクトかつ技ありな左ハイキックをひと振り。”バコッ”と乾いた音とともにKOTAROは仰向けに倒れ、レフェリーが即座に試合をストップ。倒した昇也は確信の頷きのあと、すぐに正座のまま四方の観客に深々と頭を下げ、相手営、さらにKOTAROにも頭を下げた。

 ダウン直後のKOTAROは記憶が飛んだように「何があった?」と唖然とした表情。宮田プロデューサーは「ちょっと記憶が飛んでますね」とその衝撃を伝えたが、裁定は事前の条件通り「勝敗無し」となった。急なオファーで1階級上の相手と戦ったKOTAROに対し、宮田プロデューサーは「代打で一階級上だと普通は受けない。どんな結果でももう一回本来のウェイトでチャンスをあげたい」と気持ちを称え再起の機会を示唆した。

 一瞬で決着した劇的な幕切れにファンも「ピーター・アーツか」「すげーKO」といった驚愕の声。その一方で、KO直後の昇也の振る舞いに「後味悪いなぁ」「これは気まずい」といった戸惑いも。体重超過という背景については「試合をやる以上は遠慮するんじゃない」「もとから平等じゃないからな」といった厳しい指摘が並び、圧倒的な破壊力を見せながらも「申し訳ない顔してる」昇也の姿を含め、複雑な余韻を残す反応が目立った。

 最後に宮田プロデューサーは「昇也は左ハイキックでお見事だったんですけど、本来800落としていればこんなことないわけで。ちょっと間が経ってからまた試合決めますけど、65(スーパーライト級)で頑張ってほしいですね」と再び、再起に向けてエールを送った。

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