■ フェミニズムは「男嫌い」ではない「女性を1人前扱いしないと貧しい国になる」
田嶋氏は2025年3月の朝日新聞のインタビューで「私は目の前の視聴者ではなく、テレビの向こう側にいる視聴者を意識していた。できる限り多くの、普通の男性女性に『男はパンツを自分で洗え。女はパンを自分で買え』のメッセージを届けたかった」と語っている。
そんな田嶋氏は現状について「女の人は80パーセント近くが自分で働いて稼ぐようになってきて、世の中は少しずつ変わってきた。女の人が稼いだ分だけ自由が得られたというのがあって、自由を実感している人もいると思う。実際に専業主婦の人も昔は1600万人くらいいたけれど、今はもう少なくなった」と語る。
しかし、現代の課題として漫画家の瀧波ユカリ氏は「パンは実際に買えるようになった。だけど、まだパンツは洗っている。女はパンを買い、さらにパンツを洗って2倍になっている。パンツを洗っている男の人もいるけど、それをさせない、時間を与えない組織(会社)が問題だと思う」と指摘。
これに対し田嶋氏は「だから会社の中が変わってかなきゃいけない。女性が今増えてきたから、本当は変えられるはずなんだけど、まだ女性たちが遠慮しているのではないか。そこが日本の女の人のいいところでもあるけど、もうちょっと強くなってもいいと思う。実は女性が働いてきちんと税金を払っていくことで、日本という国は良くなる。国民が税金を払わないとそれだけ国は貧しくなる。女性たちが自立してきちんと働いて税金を払うことで政治に参加することができる。そうすれば日本は変わっていく」と自身の考えを述べた。
一方で、フェミニズムに対する世間のイメージは、今なお「男嫌い」や「モテないからやっている」といった偏見も多い。しかし、田嶋氏はフェミニズムについて「社会の構造を変えることで、こんなに大変な事はない」と話す。
「男が上で女がしたっていう風に世の中作られていて、性別役割分担は文化になってしまっている。一声や二声では変えられない。法律も変えなきゃいけないし、みんなのメンタリティーも変えていかないといけないし、こんな大変なことはない。でも女性を1人前扱いしないと、これから日本はますます貧困になって1つの国として成り立たなくなる。そういうことをもう少しみんなに認識してほしい。女性を2級市民扱いしていると、結局日本国全体が貧しくなることをもっと悟ってほしい」
さらに、男女の二項対立ではないことも強調。「男対女の話ではないし、女が男を嫌っているからとか男が女を嫌っているとかそういう話じゃない。男の人が女の人を利用しなきゃいい。自分できちんとご飯作って食べて一人で働いてごらん。まずそこから男の人がやらなきゃ」。
また、個人の意識変革だけでなく、国による支援の必要性も指摘する。「国が女性に過重負担かかっている分、家事労働や子育てにきちんとお金を出す。幼稚園や保育園を作るなど、そういうことまずきちんとやる。他の国のように、女性が働けるような体制を作っていかなければいけない。そうしないと日本は国民の半分しか稼がないからものすごく貧しい国になる。大きな視点で考えてもらいたい」。
(『わたしとニュース』より)
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