現状で維新と国民民主は、何を実現したのか。維新は「議員定数削減法案」が先送りになった。「“センターピン”、“1丁目1番地”と言っていたが、結局今国会では先送りになった。『来年通そう』と高市早苗総理と話しているが、来年になれば状況が変わるわけではない。来年以降もずっと先送りされる可能性があり、非常に厳しくなっている。しかしセンターピンだったのに連立を離脱しなかった」。

 一方で「給食費無償化」は実現、社会保険改革の中で「OTC類似薬自己負担見直し」は一部実現した。「かぜ薬や湿布薬は保険適用で医師からもらえるが、薬局でも買える。そうしたものは、自己負担にしてもらおう。あまりに医療費が増えているので。これは一部実現になった。25%分だけ患者の負担を増やし、結局処方箋でもらうことは変わらないということになった」。

 こうした成果から「少し実現したように見えるが、“1丁目1番地”が先送りになっているため、『なぜ連立を離脱しないんだ』という声も出ている」という。

 対する国民民主は「『年収の壁』178万円に引き上げ」が実現した。しかし、これについては、「178万円にはなったが、年収665万円以下の人だけだ。665万円から1円でも収入が増えると、控除されなくなり、いきなり税金が増える。そこに新しい壁が作られる」と語る。

 その上で、「665万円以下の人には、8割の国民が含まれる。ただ、あとの2割、東京で大手企業勤務だと、40歳以上はそれくらいの年収になるため、そういう人は除外される。玉木代表は『ミッションコンプリート』と(動画で)喜んでいたが、そもそも“所得制限なし”と主張していたため、『コンプリートじゃないだろ』という批判が起きている。ただほぼ実現」と説明する。

 加えて、国民民主は「『自賠責保険料』返還」、「『環境性能割』廃止」を実現した。「今まで自賠責保険料を他に流用していたのを元に戻す。環境性能割は、ガソリン車などを買うときにお金を払わなければいけなかったが、それを廃止する。この2つは自動車を買う人にプラス」。これらの背景については、「国民民主党は労働組合に支えられている政党で、自動車の労働組合が後ろに付いている。だから自動車業界にいいことをやっているのも透ける」と説く。

 両者を比べて、「勝った・負けたに見えるが、税制は年末に決め、来年度予算の編成になる。この時期に話し合うタイミングだった。維新の本心にある“1丁目1番地”は議員定数削減ではなく、『副首都構想』だ。大阪を東京に並び立つ副首都にすることが本命だが、これは来年の通常国会だ。『本当の勝負は来年』と、今回は連立離脱せずに、もし副首都構想で自民党とうまく行かなければ、その時こそ連立離脱の可能性が出てくる」と分析する。

両党と高市政権との関係性はどうか
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