公務員として国際時計博物館に勤務
次に取材したのはスイスにある国際時計博物館。世界最大級の時計コレクションが展示・保管されているが、この場所で来館者に時計の歴史を伝えているのが修復師・金澤真樹さん(44)だ。
20歳でスイスへ渡り、時計の専門学校や時計メーカーを経て、公務員として国際時計博物館に勤務。彼もまた機械式時計に魅了された1人だ。
「小さいスペースの中でゼンマイの力だけで動いていることが健気で可愛い」
修復師として収蔵品を直し、動かして展示できるようにしている。いったいどんなものを修復してきたのか。
金澤さん「これは1900年前後のもの。半完成品で装飾もないどころか部品自体も仮組みもされていない状態からちゃんと動くようにもっていけるのか、歴史的な部分を調査して実際にそれをエボーシュ(半完成品)に作業してみて動かすというプロジェクトを提案した」
金澤さんは高校時代に機械式時計の時計師の特集をテレビで見て『年老いた時にスイスで時計師をやってみたい』という漠然としたイメージを抱き、スイスに渡ることを決意したという。
工業高校出身で手先が器用だった金澤さんを親も背中を押したという。今は「先人たちの歴史を伝えていくことにやりがいがある」「設計図も何も残ってないところから、想像も含めて『これはこうだったはずだ』と部品を作ったりもする」と話す。
スマートウォッチもあり、時間を確認する際はスマートフォンを使う人も多い中、機械式時計の魅力はどこにあるのか? 後藤氏は取材を通して感じたこととして、以下のように話した。
「機械式時計は持ち歩ける芸術だ。ジュエリーもいいが、時計は時刻・日付、ものによっては月の満ち欠けもわかる。太陽光も電池もなく、動力が何もなくても、この小さいスペースの中でゼンマイの力だけで動いていることが健気で可愛い」
(朝日新聞/ABEMA)
この記事の画像一覧

