【写真・画像】『タッチ』など名作漫画のあのシーンを振り返る!「―画業55周年記念― あだち充展」会場レポート 5枚目
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 日高は実際に『タッチ』で浅倉南役を演じる上で、「(漫画を)読んでいるときは作品に浸れて好きだったのですが、裏にある感情や言葉にしない本当の想いを声で表現する上で何度もダメ出しを受けていました。読むのは最高ですが、演じるのは大変だなぁと思った記憶があります」と当時を振り返る。

 2025年現在も「ゲッサン」にて連載中の『MIX』の話題では、『タッチ』と同じ明青学園が舞台となったことに関して話題が及ぶ。

 あだち氏は「高校野球を描く上で、どうしても過去作が邪魔になってしまうが、ここまで来たら開き直って、いろいろな設定などを気にしないでぶち込んでしまおうと思った。手元にある材料を全部使ってミックスジュースを作ってしまおうと。出来上がりがどうなるか本人も想像できないが、飲める程度にはなると思います」と同作の制作秘話を明かしていた。

 2019年から放送されたTVアニメ『MIX』では、日高はナレーションおよび仔パンチ役で出演。作品について「まず連載が始まってページを開いた時に、私もここに生きていたと思えるような懐かしい風景と感じました。ちょっと離れていた故郷を訪れたような懐かしさがありつつ、『タッチ』の3人の関係とはまた違う、ホームコメディのような温かいニュアンスがいっぱい詰まっていますよね」と紹介する。

 昭和・平成・令和の時代で漫画を生み出してきたあだち氏だが、時代性については「高校野球の環境やルールはどんどん変わっているが、日常生活でウチの漫画はやっています。好きになって眠れなくなるというような感情は、昔からそんなに変わっていないだろうと。時代の流れを意識してしまうと描けなくなってしまうので、自分の高校時代を懐かしみながら、少しずつ新しい要素も入れてリニューアルしていますが、根本的には変わらないです」と語っていた。

【写真・画像】『タッチ』など名作漫画のあのシーンを振り返る!「―画業55周年記念― あだち充展」会場レポート 6枚目
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 対談の最後には日高から「改めて画業55周年おめでとうございます。今回先生の描かれた名シーンが大きく見られるのも魅力ですし、思い出の勉強部屋も再現されていてフォトスポットになっています。あと何と言っても原画です! 印刷される前の先生が選んだ色で塗られた原画が見られますので、ずっと巡っていくとご自身の人生と漫画との付き合いを深く味わえると思います」と展示会の見どころにも言及。

【写真・画像】『タッチ』など名作漫画のあのシーンを振り返る!「―画業55周年記念― あだち充展」会場レポート 7枚目
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 あだち氏は「とにかく55周年を盛り上げようといろいろな人が一生懸命頑張ってくれました。一生のうちに一度でもあだち充の漫画に触れた人は、会場に足を運んでいただけますと、みんなが幸せになれます」とコメントし、対談は締めくくられた。

―画業55周年記念― あだち充展
会場:池袋・サンシャインシティ 展示ホールC
会期:2025年12月19日(金)~2026年1月14日(水)
※2026年1月1日(木・祝)は休業

※日高のり子の「高」は、正式にははしごだかの字
(C)あだち充/小学館
取材・撮影・テキスト/kato

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