■反則すら戦略に 勝つことが第一のプロの流儀
ウルフ氏は、スポーツにおける「ずる賢さ」を「戦略の一部」として肯定する 。柔道には「指導」という反則があるが、彼は勝利を確実にするためにこれを意図的に活用してきたという。「試合、ラスト30秒で、こちらが『技あり』のポイントでリードしてる場面で、相手の技で投げられそうになった時、わざと『足持ち』の指導もらうことがある。そこで投げられたら負けなので」。
こうした姿勢に「卑怯だ」という声はないのか。ウルフ氏は「ルールを最大限に使って勝つのがスポーツ」と断言する。柔道には「道を求める」という武道的側面もあるが、オリンピック種目である以上、競技としての側面が強くなっていると分析する。
「トップを目指してやるところからして、もう武道的な側面からちょっと外れている。一番を目指すというのも、武道はもともとそういうものではない。オリンピック競技である時点で、もう武道的側面ではないところで争っている」。
第一線で戦う以上、勝つことが第一であり、「フェアプレーでやらなければ勝てたのに、それをやらずに負けるのが一番ダサい」というのが彼の持論だ。
■ウソの情報も流す 徹底した「情報戦」の裏側
