
三浦半島の先にある城ヶ島公園で発見したのは、同じ方向に傾くマツの木。その数約850本。髪の毛がわずかに揺れる程度の微風が影響しているのか?
東京・中野区にある禅寺でウワサになっていたのは「地下通路」。入ってみると、鉄で覆われたジグザグのトンネル。
神奈川県の住宅街で発見したのは、“バベルの塔”のような、高さ約30メートルの建物。高台に建ち富士山も望める眺望から、展望台?と思ったら、街に欠かせない重要な役割を担っていました。
同じ方角に傾くクロマツ
最初にやって来たのは神奈川県三浦半島の先、67年前にオープンした城ヶ島公園です。
一斉に同じ方角に傾くのはクロマツ。中には、今にも倒れそうなマツもあれば、地面すれすれを伸びるものまであります。
さらにフシギなのは、マツじゃない木は普通で全く傾いていません。一体なぜ、クロマツだけが傾くのか。追跡すると意外な理由に辿り着きました。
城ヶ島公園にあるクロマツは約850本。そのほとんどが北東の方角に傾いていました。
来園者
「重くなってきちゃっているんじゃない?葉の先が。だから斜めになってきちゃっている」
来園者
「海の風ですかね」
「(Q.でもこの感じはどうでしょう?)(風が)ないですね。なぜでしょう」
そこで風速を計ってみますが、2.7メートルと、後ろに見えるマツの葉がわずかに揺れる程度の風。この程度の風で木が曲がるのでしょうか?
防風林を研究する、東京都市大学の吉崎真司名誉教授に聞くとこう答えました。
「風速っていうのは高さによって全然違う。多分上は7~8メートルとかは(吹いている)。高ければ高いほど、地表面よりは上のほうが風圧を受ける」
公園は、海面より30メートルほど高く、マツの上部を流れる風に急斜面をのぼってきた風が加わり強さが増すといいます。さらに、背の高い木は風を受ける面積が広いため、大きく傾くのだとか。
なぜクロマツだけ?
ではなぜ、クロマツだけが傾くのでしょうか?
「まっすぐ伸びたいでしょうけれども、結果として曲がっていく。(クロマツは)風を逃がすように順応してる」
他の木は風を受け流す能力が低いため、まっすぐ伸びて、結果、枯れたり折れたりするのだといいます。
しかしここで新たな疑問が。背が高いマツは風で揺れていますが、背が低いマツは揺れていません。それにもかかわらず、同じように傾いています。これは?
「海に近い所の場合は、潮もたくさん飛んでくる。塩分ストレスも同時に起きる」
木を枯らす原因の一つ塩分。クロマツは、潮風を受け流すように傾くことで影響を最小限にしていました。過酷な環境でも生き続けるクロマツ。このため、防風林に多く選ばれています。
禅寺の境内にナゾの地下通路
続いて向かったのは東京・中野区。ここにもフシギな場所があるといいますが、大学生や地元住民は「知らない」と答えます。この街のことを古くから知る人は、このように話します。
「入ったことある」
「(Q.どういう所?)地下道ずっと入って行って、今、コンクリートかなんかできれいになっている」
それは、都会の禅寺の境内にありました。扉を開けると、まるで俗世との関わりを絶つようなナゾの地下通路。禅寺だけに修行の場なのでしょうか?
中野坂上駅から徒歩5分。1438年創建と伝わる禅寺、「多宝山成願寺」。そんな歴史ある禅寺の境内で発見したのは、玄関のように見える扉。しかし、後ろに建物はありません。扉を開けてもらうと、通路のようになっています。
壁が鉄板で覆われたトンネル。通路は40メートルほど続いていました。一体、何のための通路なのでしょうか。
見通しが悪いジグザグの作り。さらに壁には、鉄の壁に開いた窓のような穴。かつて仏像などが祭られていたのか?
通路を進むと、壁に囲まれた4畳半ほどの小部屋。坐禅を組む修行部屋だったのでしょうか。果たしてトンネルの正体は?
成願寺 若方丈 小林尭成さん
「この寺の関係者の方たちによって手掘りで掘られた旧防空壕(ごう)になります」
お寺がある中野区は第二次大戦中、空襲を受け、多くが焼け野原になりました。お寺の防空壕は多くの命を救ったといいます。
通路がジグザグな理由は、「空襲による爆風が直接中に入り込まないようにするための工夫」とのことです。
旧防空壕は元々土壁でしたが、約30年前、崩落を防ぐため鉄板で補強。その際、仏像を置けるように窓を作りましたが、土を掘ると強度を保つことが難しいため断念したと言います。
「今の世代、戦争を知らない世代の方たちがたくさんいらっしゃいますので、平和の場として活用していきたいと思っています」
旧防空壕の見学は、予約すればだれでも可能です。
まるでバベルの塔 その役割は?
続いて向かったのは神奈川県南西部にある中井町。見えてきたのは、外壁がらせん状に造られていて、まるで旧約聖書に登場するバベルの塔を彷彿させます。
この建物の正体とは?追跡すると、街に欠かせない大切な役割がありました。
秦野市と小田原市に挟まれた人口約9000人の中井町。謎の建物は、街のかなり離れた場所からもはっきりと確認できます。
秦野市在住
「知っている。あるよね。なんだっけな。知っているけど」
「(Q.何の建物かご存じ?)それは分からないかな」
初めて見た人は「美術館じゃないしね」「変わった形だもんね」と話していました。
一体、何のための建物なのでしょうか。建物周辺に看板のようなものは見当たりません。入り口は、普段、誰も入れないようにシャッターで閉じられていました。
今回、特別に中に入らせてもらうことに。階段を上ると、2階のデッキ部分につながっていました。らせん状の階段を上ると、目の前に飛び込んできたのは富士山。やっぱり展望台なのでしょうか?
高さ30メートルほどの建物は、周囲を見降ろすように高台に建っています。この高さが重要なヒントなんです。
中井町役場 井上剛さん
「(Q.電力ですか?)違います。そういうなくてはならないもの」
「(Q.水ですか?)正解ですね」
そう、ここは水源から家庭に送る水道水を一時的に貯める配水池といわれる施設です。
施設の中には2つのタンクがあり、下のタンクは低いエリアに。上のタンクは高いエリアに、ポンプを使わず高低差を利用して水道水が送られていました。
では、外壁のらせん状のデザインはなんのためなのでしょうか?
「メンテナンスするのに、はしごで登るというわけにはいかない。地上30メートルぐらいある」
階段をらせん状にすることで、保守面での安全を確保していました。
機能から生まれたフシギな形状。建設から30年。今では街のシンボルとして人々に愛されています。
