■地政学的に見るトランプ氏の動き

地政学
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 日米の安全保障に詳しい明海大学教授の小谷哲男氏が、このところ“地政学”が注目される理由を説明する。「冷戦終結時には世界平和が予想されていたが、実際はそうではなかった。世界の紛争はアメリカ(東側)とソ連(西側)の冷戦により抑えられていたが、終結により領土を広げようとする国が増えてきたためだ。その代表例が中国とロシア。地政学は、領土を広げる“縄張り争い”である」。

 マドゥロ氏の拘束については、「アメリカはベネズエラの麻薬製造を理由にしているが、世界最大の石油埋蔵量を誇るベネズエラの利権を押さえる狙いもあるだろう。そして、最大の理由は、ベネズエラが反米で、同じく反米のロシアやイランと関係が深いこと。軍が持つ兵器は、ほぼロシア製か中国製で、それによる攻撃を防ぐために軍事攻撃を行った」と推察する。

 本初子午線(経度0度)を境目に、北米や中南米は「西半球」、ヨーロッパやアジア、アフリカ、ロシア、オーストラリアは「東半球」と位置づけられる。「アメリカも南米諸国もヨーロッパから独立した国だ。19世紀前半、東半球と決別し、西半球を1つと考える“モンロー主義”が生まれた」。

 そして、この考えを踏襲するトランプ氏は「西半球にあるベネズエラが、東半球の影響を受けているのは許せない」として、「西半球防衛の観点から攻撃し、ベネズエラをいわばアメリカの一部にした」とする。

 アメリカはベネズエラをどうしたいのか。「トランプ政権はベネズエラ攻撃後に、『西半球にはアメリカに友好的な国だけを作る』『西半球で資源を自給できる体制を作る』と明言した。ベネズエラへの攻撃は『他の反米左翼国も、従わないと同じ目に遭うぞ』という見せしめで、実際にコロンビア大統領がトランプ氏と話すことになったなど、『反米政権をやめろ』と言える環境を整えた」。

■西半球はアメリカの“シマ”?
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