■西半球はアメリカの“シマ”?
地理研究者で同志社大学大学院教授の内藤正典氏によると、「“西半球”はアメリカの戦略によく出てくる言葉だが、ヨーロッパでは自身を“東半球”とは呼ばない。トランプ氏は今回、北のグリーンランドから南のチリやブラジルまで、一緒くたに『うちのシマだ』と言っている」という。「本初子午線は、たまたまグリニッジ天文台で引かれただけだ。『ここより西はアメリカが影響力を及ぼしていい』といった根拠など、最初から存在しない」。
北にあるグリーンランドは、アメリカと中国、ロシアの間に位置している。「極北の地で氷に覆われているが、温暖化が進むと地表面が出て、鉱物資源の開発が進められる。そこでトランプ氏は『先に占有してしまえ』と、持ち主であるデンマークと売買交渉を始め、デンマークはEU(欧州連合)に泣きついた」と解説する。
一方で、「なぜグリーンランドをデンマークが持っているのか」も考えるべきだと語る。「植民地だった名残で自治権を与えたが、現実にはグリーンランド自治政府は、あらゆることをデンマーク政府と協議しなければならないため、住民の8割方は独立したいと思っている。ただし同時に、アメリカによる支配も嫌がっているため、慎重に見ないといけない」。
そこで重要となるのが、当事者であるグリーンランド住民の意思であり、「外からの議論が乱暴すぎる。トランプ氏も、デンマークも、その支配の仕方が褒められるかは別の問題だ。日本人としては冷静に見た方がいい」と指摘する。
■ベネズエラ攻撃は大国アメリカの焦りか
