■再建のリスク

明石定子医師
拡大する

 これまで3000人以上の乳がんの手術を行ってきた東京女子医科大学病院の明石定子医師によると、「がんのステージは浸潤部、つまり“しこり”の大きさで決まる。浸潤部の切除に加え、乳がんの場合は、母乳を運ぶ“乳管”に沿ってがんが伸びていることもあるため、しこりは小さくても範囲は広い」という。

 また、「“0期”であっても、乳管に沿って範囲が広いと、全摘しないといけない場合がある。外からわかりやすい『しこりの大きさ』だけでなく、『どれだけ広がっているか』や『乳頭を残せない場所にあるか』、最近では遺伝性乳がんの場合は全摘を勧めることが多いなど、ステージだけでなく、状況に応じて術式は変わる」と説明する。

 一方で、乳房再建の実施率は、1割程度にとどまる。明石氏は「海外と比べて非常に低い。日本の保険制度では、乳腺外科医と形成外科医が一緒に手術しないといけない縛りがあるため、形成外科医がいない地域では、選択肢を示しにくい。地域格差も割と大きい」と、その背景を説く。

 再建時の注意点としては、「人工物による再建では、10年程度で破損のリスクが出てくると言われる。絶対破損するというわけではないが、破損時には入れ替える必要がある。また人工物の場合、もし細菌感染をしてしまうと、取り出さないといけない」と話す。

 切除後は周囲の反応を気にする人もいるが、YUKOさんは「夫はショックを受けず、何も変わらなかった。胸が好きで結婚したわけではないため、パートナーとの関係も変わらないと結論づけた」という。

 それでもなお喪失感を覚えたのは、なぜなのか。「10代や20代の時は『胸の大きさが女性の魅力につながる』と言う人は周囲にいたし、私自身もそう思っていた。この歳になっても、『胸が垂れる』と気にする同世代は多い。男性も女性も『胸は女性の魅力』と捉えている部分があり、自分も無意識に思い込んでいた」と推測する。

 喪失感の大小について、谷澤さんは「パートナーの有無でも異なる」と語る。「これから恋愛をしたり、ともに過ごしたい人が出てきたりした時に、胸がないことが踏み出す勇気の足かせとなる人はたくさんいる。本来は胸の有無で、その人自身が変わるわけではないが、どうしてもそこに重きを置いてしまう」。

(『ABEMA Prime』より)

この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(6枚)