■中室氏「長期的には主体性が失われる可能性も」
学校選びから課題の丸付け、独自課題の作成、過去問の管理まで、サポートの背景には、保護者が手伝うことで有利になるなら手伝いたいという親心があるようだ。ただ、中室氏は親がやることによる懸念も指摘する。
「親が全部やってあげるのは、子どものためにならない可能性もあるのではないか。例えば、中国で行われた有名な研究に、小学校の時に生徒会やクラスのリーダーをやっていたら、果たしてそれが学力を下げるのかを示した研究がある。実際に中学校でリーダーをやっていると勉強する時間は短くなるが、いろいろなことに対する主体性が身に付いて、それによって学力が上がったという研究がある」
「子どもの主体性を育てることは、長期的に見て非常に重要なことだと思う。短期的にはサポートによって受験や学力を上げることに効果があったとしても、長期的に考えると親が全部やってあげることは主体性を失わせるリスクがある」
また、親が自分のために仕事を辞めて伴走してくれたとなれば、子どもにとってプレッシャーになる心配もある。「親の過度なプレッシャーは、子どもにとってあまり良い影響がないのは、数多の研究で示されていることだと思うので、プレッシャーをかけすぎないようにすることは大事」。
さらに、時間投資と経済的投資のバランスも指摘する。「経済学の研究では、教育の投資を『時間投資』としていて、子どもの勉強を見てあげる時間投資と、学費や塾の授業代を支払うお金の投資に分けている。子どもの学齢が小さい時は時間投資の効果はすごく大きい。しかし子どもの学齢が大きくなってくると、今度はお金の投資効果が大きくなってくる。そのため離職することがあったとしても、いずれどこかで復職して経済的に安定していること自体は、子どもの20年間で見れば重要なことかもしれない」。
(『わたしとニュース』より)
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